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静電気測定器の正しい選び方、使い方【図解】

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静電気測定器の購入ガイドとして下記のポイントをメインに解説しています。

・静電気測定器の原理、仕組み、効果

・静電気測定器の使い方、校正

・静電気測定器のメーカー比較、種類

・静電気測定器の保管、お手入れ、設置

・静電気測定器のおすすめネット通販商品、ランキング、口コミ

静電気測定器 レンタル、中古

ご参考になれば幸いです。(^_^;)

  1. 静電気測定 評価とは |見えない静電気を測る!
    1. 静電気測定の目的
    2. 静電気測定の方法
    3. 静電気測定の機器
    4. JIS C  61340-2-2  帯電特性の測定  解説概要
    5. kikakurui.com |JIS C  61340-2-2  帯電特性の測定
  2. 電位電荷量の違い
    1. 電荷量
    2. 電位
    3. 電位と電荷量の関係式
  3. 静電電位計と表面電位計とは |帯電電位と表面電位の違い
    1.  静電電位計 | 帯電した物体の電位を測定する
    2.  表面電位計 |帯電した物体の表面電位を測定する
    3. ファラデーケージ法で電荷量を測定する
    4. 静電気の表面電位の測定
  4. 静電電位計で静電気の電界を測定する
    1. 静電気の電界測定の目的
    2. 静電気の電界測定方法
    3. 静電電位計の種類
    4. 測定時の注意点
    5. 静電気の電界測定の応用
    6. 回転セクタ型の特徴
    7. クーロンメーター(電流積分法)で電荷量を測定する
  5. 静電気測定器の選び方
    1. 測定対象
    2. 測定範囲と精度
    3.  測定環境
    4.  機能
    5. 価格
    6. 静電気測定器の種類
    7. その他
  6. おすすめ 静電気測定器 メーカー
    1. シムコジャパン
    2. 春日電機株式会社 カスガ
    3. シシド電気
    4. ベッセル(VESSEL)
    5. おすすめ チャージプレートモニター
    6. 静電気測定器 メーカー選びのポイント
  7. 静電気測定器のメンテナンス|校正
    1. 日常的なメンテナンス
    2. 定期的なメンテナンス 校正
    3. その他のメンテナンス
  8. 静電気管理で重要な湿度温度管理|湿度温度測定器
    1. おすすめ 乾湿計 タニタ Tanita 温湿度計
  9. 静電気測定の繰り返し性
  10. 業界ごとの静電気測定器の利用
    1. 電子部品・半導体業界
    2. 自動車業界
    3. プラスチック・フィルム業界
    4. 印刷・製紙業界
    5. 医療業界
    6.  化学・石油業界
    7. 食品業界
    8. 繊維業界
  11. 静電気除去  参考文献
  12. まとめ

静電気測定 評価とは |見えない静電気を測る!

静電気測定とは、物体や人体に帯電している静電気の量を測定することです。静電気は、物質同士の摩擦や接触によって発生する電荷の偏りによって生じます。

静電気測定は、以下のような目的で行われます。

静電気測定の目的

  • 静電気による障害の防止: 電子部品や精密機器は静電気に非常に弱く、静電気による破壊や誤動作を防ぐために、製造工程や保管場所での静電気測定が重要となります。
  • 静電気対策の効果確認: 静電気対策として、除電器や帯電防止材などが使用されます。静電気測定によって、これらの対策が効果的に機能しているかを確認することができます。
  • 安全管理: 静電気は、火災や爆発の原因となることがあります。特に、可燃性ガスや粉塵が存在する場所では、静電気測定による安全管理が必須となります。
  • 研究開発: 静電気の発生メカニズムや帯電特性を研究するために、静電気測定が行われます。

静電気測定には、主に以下の方法があります。

静電気測定の方法

  • 電界測定: 静電気によって発生する電界を測定する方法です。非接触で測定できるため、測定対象物に影響を与えません。
  • 電位測定: 静電気によって生じる電位差を測定する方法です。測定対象物にプローブを接触させる必要があります。
  • 電荷量測定: 物体に帯電している電荷量を直接測定する方法です。

静電気測定に用いられる機器には、以下のようなものがあります。

静電気測定の機器

  • 静電電位測定器: 電界測定や電位測定を行うための機器です。
  • クーロンメーター: 電荷量測定を行うための機器です。
  • 静電気探知機: 静電気の有無を簡単に確認するための機器です。

静電気測定を行う際には、測定環境や測定対象物の特性に注意する必要があります。例えば、湿度や温度などの環境条件によって静電気の発生量は変化します。また、測定対象物の材質や形状によっても測定結果が変わることがあります。

静電気測定は、様々な分野で重要な役割を果たしています。電子機器の製造、化学プラント、医療現場など、静電気によるリスクが存在する場所では、適切な静電気測定と対策を行うことが重要です。

 

日本工業規格JIS C  61340-2-2では静電気の帯電特性の測定を下記のように定義しています。

JIS C  61340-2-2  帯電特性の測定  解説概要

この規格は,物体と他の物体との間の接触,剝離,摩擦などによって発生する静電気電荷を評価するための静電気の帯電特性の測定方法について規定する。また,この規格で取り扱う静電気の発生過程は,エレクトロニクス産業に限定したものであり,測定対象についてもエレクトロニクス産業で一般的に用いるものに限定する。

なお,この測定方法は,着火及び爆発の可能性がある環境には適用しない。注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。IEC/TR 61340-2-2:2000, Electrostatics − Part 2-2: Measurement methods − Measurement ofchargeability(MOD)

その他のJIS C  61340-2-2 帯電特性の測定の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

 

kikakurui.com |JIS C  61340-2-2  帯電特性の測定

帯電特性測定の日本工業規格 JIS JIS C  61340-2-2が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず)

帯電特性測定 JIS JIS C  61340-2-2

 

電位と電荷量の違い

電位と電荷量は、どちらも静電気に関する重要な概念ですが、それぞれ異なる物理量を表しています。

電荷量

  • 電荷量とは、物体が持っている電気の量のことです。
  • 単位はクーロン(C)で表されます。
  • 電荷にはプラスとマイナスがあり、同符号の電荷は反発し、異符号の電荷は引き合います。
  • 電荷量は、電子や陽子の数で決まります。

電位

  • 電位とは、電荷が持つ位置エネルギーのようなものです。
  • 単位はボルト(V)で表されます。
  • 電位の高い場所から低い場所へ電荷は移動しようとします。
  • 電位は、基準点となる場所との電位差で表されます。

たとえ話

水位と水量の関係に例えると、

  • 水量 → 電荷量
  • 水位 → 電位

となります。

  • 水量が多いほど、水位は高くなります。
  • 水位が高いほど、水は低い場所へ流れようとします。

違いをまとめると

項目 電荷量 電位
意味 電気量の大きさ 電荷の位置エネルギー
単位 クーロン(C) ボルト(V)
類似 水量 水位

電位と電荷量の関係式

電位と電荷量の関係は、静電容量によって結び付けられます。

関係式は以下の通りです。

Q = CV

Q: 電荷量(クーロン、C)
C: 静電容量(ファラド、F)
V: 電位(ボルト、V)
この式は、コンデンサに蓄えられる電荷量を計算する際に特に重要です。コンデンサは、電荷を蓄えることができる電子部品で、静電容量という値でその能力を表します。

静電容量とは、物体に電荷を蓄える能力のことです。

Q = CV の式は、以下のことを意味しています。

静電容量 C が一定の場合、電位 V を高くすると、蓄えられる電荷量 Q は多くなります。
電位 V が一定の場合、静電容量 C が大きいほど、蓄えられる電荷量 Q は多くなります。

静電容量 10μF のコンデンサに 100V の電圧をかけると、蓄えられる電荷量は?

Q = CV = 10μF × 100V = 1000μC = 1mC

ポイント

静電容量は、物体に電荷を蓄える能力を表す。
電位と電荷量は、静電容量を通じて関係している。
この関係式は、静電気に関する様々な現象を理解する上で基礎となるものです。

 

静電電位計と表面電位計とは |帯電電位と表面電位の違い

静電電位計表面電位計は、どちらも静電気を測定する機器ですが、測定対象と原理が異なります。

 静電電位計 | 帯電した物体の電位を測定する

  • 測定対象: 物体全体の電位(帯電電位)を測定します。
  • 測定原理: 測定対象をファラデーケージと呼ばれる導体製の箱の中に入れることで、対象物に帯電している電荷をファラデーケージに移動させ、その電荷量を測定します。
  • 用途:
    • 帯電した粉体や液体の電位測定
    • 帯電した人体や衣服の電位測定
    • 電子部品などの帯電電位測定

静電電位計の種類

  • 回転セクタ型: モーターで回転する羽根で電界を遮断することで、電位を測定します。
  • 音叉型: 振動する音叉で電界を遮断することで、電位を測定します。
  • 振動容量型: 振動する電極を用いて電位を測定します。

 

 表面電位計 |帯電した物体の表面電位を測定する

  • 測定対象: 物体の表面の電位(表面電位)を測定します。
  • 測定原理: 測定対象にプローブを近づけ、静電誘導現象を利用して電位を測定します。プローブ内の振動電極によって電界強度を周期的に変化させ、誘導電荷量の変化を電圧に変換することで表面電位を測定します。
  • 用途:
    • プラスチックフィルムやシートなどの表面電位測定
    • 塗装面や印刷物の表面電位測定
    • 電子基板などの表面電位測定

静電電位計と表面電位計の比較

項目 静電電位計 表面電位計
測定対象 物体全体の電位(帯電電位) 物体の表面の電位(表面電位)
測定原理 ファラデーケージ法 静電誘導現象
測定方法 対象物をファラデーケージに入れる プローブを対象物に近づける
用途 粉体、液体、人体など フィルム、シート、基板など
その他 測定対象の形状に制限がある 測定対象の形状に制限が少ない

このように、静電電位計と表面電位計は測定対象と原理が異なるため、用途に応じて使い分ける必要があります。

例えば、

  • 粉体容器内の粉体の帯電状態を測定したい場合は、ファラデーケージ法を使用します。
  • プラスチックフィルムの表面の帯電状態を測定したい場合は、表面電位計を使用します。

静電気測定器を選ぶ際には、測定対象や目的に合わせて適切な機器を選択することが重要です。

ファラデーケージ法で電荷量を測定する

ファラデーケージ法は、帯電した物体の静電気量を測定する方法の一つです。

基本的な原理

  1. ファラデーケージ: 導体でできた箱状の容器を使用します。この容器は外部の電場を遮蔽する役割を果たします。
  2. 電荷の移動: 帯電した物体をファラデーケージの中に入れると、物体のもつ電荷がファラデーケージの壁に移動します。
  3. 測定: ファラデーケージに接続した電位計または電荷量計を用いて、移動した電荷量を測定します。

特徴

  • 正確な測定: ファラデーケージは外部電場の影響を受けないため、高精度な測定が可能です。
  • 様々な物質に対応: 導体だけでなく、絶縁体の電荷量も測定できます。
  • 形状の影響が少ない: 測定対象物の形状に影響されにくいという利点があります。

測定手順

  1. ファラデーケージをアースに接続します。
  2. 電位計または電荷量計をファラデーケージに接続します。
  3. 測定対象物をファラデーケージに入れます。
  4. 電位計または電荷量計の値を読み取ります。

用途

ファラデーケージ法は、以下のような用途で広く利用されています。

  • 粉体: トナー、医薬品、食品などの粉体の帯電量測定
  • 液体: 燃料、塗料、溶剤などの液体の帯電量測定
  • 固体: プラスチック、ゴム、繊維などの固体の帯電量測定
  • その他: 電子部品、フィルターなどの帯電量測定

ファラデーケージ法のメリット

正確な測定: 測定対象物の形状や周囲の環境に影響されにくく、正確な電荷量を測定できます。
非破壊測定: 測定対象物に接触せずに測定できるため、帯電状態を変化させることなく測定できます。
様々な形状に対応: 複雑な形状の物体や、粉体、液体などの電荷量も測定できます。

ファラデーケージ法のデメリット

装置が高価: クーロンメーターよりも高価な装置が必要となります。
大型の装置: 測定対象物のサイズによっては、大型のファラデーケージが必要になります。

ファラデーケージ法

図2 ファラデーケージと測定原理  ファラデーケージは二重の金属容器で,内側容器の中 に帯電体を入れ,その電位を電位計(エレクトロメータ) で測定する。外側容器は誘導ノイズを除くための静電シ ールドである

 

静電気の表面電位の測定

静電気の表面電位測定は、物質の表面に帯電している静電気の電位を測定することです。

なぜ表面電位を測定するのか?

静電気は、電子機器の誤動作や破壊、火災や爆発の原因となることがあります。静電気による被害を防ぐためには、物質表面の電位を測定し、静電気の発生状況を把握することが重要です。

振動容量型電位計で静電気の表面電位を測る

帯電していない導体は,近くに帯電体が無い広い空間に置かれていればその電位はゼロである。しかし,この導体に帯電体が接近すると,導体自身に電荷が無いにもかかわらずその電位が変化する。

このときの導体の電位は,導体の大きさ、形、導体一帯電体間の間隔などによって変化するが,これらの条件が一定であるとすると,帯電体の電位(あるいは電荷量)に比例して決まる。そのため,導体の電位を測定することによって,帯電体の電位(あるいは電荷量)を知ることができる(図3)。

電位測定

図3 導体に帯電体が接近すると,導体の電位が変化する

電位計としては、検出電極を電界方向に振動させ交流電圧を起こし、これを増幅整流して直流に変換し読む振動容量型電位計がよく知られています。

静電電位計は、非接触で電位を測定できるため、測定対象物に影響を与えません。

振動容量型電位計

図4 振動容量型電位計

 

 

表面電位計測の注意

電位は帯電体の電荷量だけで決まらずに,その部分の静電容量に依存して決まる。静電容量は帯電体の置かれた状態によって変化するから,「帯電体の電位測定するために,帯電体を電位計のある場所に持つてきて測定する」などというとは,多くの場合意味をなさない。

例えば,図に示すフィルムが金属ロールで搬送されている例では,A点のようにフィルムがローラに接触している所と,B点のようにフィルムが空間にあり,その裏面が物体から離れている所でのフィルムの電位は大変な違いを生じる。当然A点での電位は低なり,B点での電位は高くなる。

特にA点では帯電がフィルムの裏面である場合は,ほとんど電位がゼロに近くなる。またB点では表裏どちらの面が帯電しても表面電位計は同じ電位を示す。

電位測定注意

図5 電位測定注意

 

 

静電電位計で静電気の電界を測定する

静電気の電界の測定は、静電気対策を行う上で非常に重要な要素です。静電気は、物質に蓄積された電荷によって発生する電界が原因で、様々な問題を引き起こす可能性があります。

静電気の電界測定の目的

  • 静電気障害の防止: 電子部品や精密機器は、静電気による放電で破壊されたり誤動作したりすることがあります。電界を測定することで、静電気による障害のリスクを評価し、適切な対策を講じることができます。
  • 静電気対策の効果確認: 静電気対策として、除電器や帯電防止材などが使用されます。電界測定によって、これらの対策が効果的に機能しているかを確認することができます。
  • 安全管理: 静電気は、可燃性ガスや粉塵が存在する場所で火災や爆発を引き起こす可能性があります。電界測定は、このような危険な環境における安全管理に役立ちます。
  • 研究開発: 静電気の発生メカニズムや帯電特性を研究するために、電界測定が行われます。

静電気の電界測定方法

静電気の電界測定には、主に 静電電位計 が使用されます。静電電位計は、電界センサーを用いて測定対象物表面の電界強度を測定し、それを電位に変換して表示する機器です。

静電電位計の種類

  • 回転セクタ型: モーターで回転する羽根で電界を遮断することで、電位を測定します。
  • 音叉型: 振動する音叉で電界を遮断することで、電位を測定します。
  • 振動容量型: 振動する電極を用いて電位を測定します。

測定時の注意点

  • 測定距離: 測定距離によって電位値が変化するため、一定の距離を保って測定することが重要です。多くの電位計では、最適な測定距離を示すレーザーポインターや距離センサーが搭載されています。
  • アース: 測定器や測定対象物を適切にアースすることで、外部からのノイズの影響を軽減できます。
  • 湿度: 湿度が高いと静電気が逃げやすくなるため、測定値に影響が出ます。湿度を一定に保った環境で測定することが重要です。
  • 温度: 温度も静電気の発生量に影響を与える可能性があります。

静電気の電界測定の応用

  • 電子部品の製造現場における静電気対策
  • プラスチック、紙、繊維などの製造現場における静電気対策
  • 印刷、塗装工程における静電気対策
  • 病院の手術室や医療機器の静電気対策
  • 可燃性物質を扱う場所での静電気対策

静電気の電界測定は、様々な分野で静電気によるリスクを低減するために重要な役割を果たしています。

回転セクタ型の特徴

静電気の電界の中に導体が置かれると,その表面には
σ=εo× E
の電荷が誘導され,その結果導体の電位が変化する。そのため,導体電位から電界を計測することができる。したがって,誘導電極での測定で測定器を電位の代わりに電界目盛りにすれば,電界を測定することができる。

導体の前面に接地した導体の羽根を設け,これを回転させると,導体に入る電気力線はこの回転する羽根によって周期的に切断され,導体表面の誘導電荷も周期的に現れるようになる。これも振動電極型と同様な交流出力が得られる測定装置であって,安定な測定ができる(図6)。

この装置は回転セクター型(セクターとは扇状の形を言い,回転する羽根の1枚1枚がこの形をしているためにこのように呼ばれる。 field mill ともいう)と呼ばれ,ビルの屋上に空に向けて設置し,雷雲の接近を観測するために使われていた。雷雲が接近すると地表近くでも電界強度が高くなるからである。

回転セクター型電界計

図6 回転セクター型電界計  誘導電極前面で金属の羽根(セクター)を回すタイプの電界計。アンプの出力は交流になるが,羽根の回転位置を検出し,これと同期してアンプの出力の正負を決定する同期整流回路を持ち,最終出力は羽根が開いたとき の誘導電極に誘導される電圧の極性の直流電圧として出力する

 

帯電体によって作られる電界は帯電体の電荷量,あるいは電位によって決まるから,この測定器は帯電体の表面電荷密度や電位を測定するためにも使われる。昔は表面電位計はほとんどこのタイプであったが,モータで羽根を回転させるので大型になるため,最近ではほとんどが振動電極式に代わられてしまった。

クーロンメーター(電流積分法)で電荷量を測定する

クーロンメーターは、たまつている静電気を所定のコンデンサに電流として流し込み、その電流を積分して帯電電荷量を測定するものです。

メリット: 直接的な測定方法で、比較的安価な測定器で測定できます。
デメリット: 測定対象物に接触するため、帯電状態を変化させてしまう破壊検査となります。また、測定者の技量によって測定値がばらつく可能性があります。

クーロンメーター

図1 クーロンメータ(電流積分法)

 

静電気測定器の選び方

静電気測定器を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

測定対象

  • 何を測定したいのか?: 電位、電荷量、抵抗値など、測定したい項目を明確にしましょう。
  • 測定対象物の形状は?: 平板、曲面、粉体、液体など、測定対象物の形状によって適切な測定器が異なります。
  • 測定対象物の材質は?: 導体、絶縁体など、材質によって測定方法が異なります。

測定範囲と精度

  • 必要な測定範囲は?: 測定対象物の電位や電荷量の範囲に合わせて、測定器の測定範囲を選びましょう。
  • 必要な精度は?: 用途に応じて、必要な測定精度を検討しましょう。

 測定環境

  • 測定場所の環境は?: 温度、湿度、電磁ノイズなど、測定環境によって測定値に影響が出ることがあります。測定環境に適した測定器を選びましょう。
  • 現場での使いやすさ: 測定器のサイズ、重量、操作性なども考慮しましょう。

 機能

  • データロガー機能: 測定データを記録する機能があると、データの分析や管理に便利です。
  • アラーム機能: 設定値を超えた場合にアラームで知らせる機能があると、安全管理に役立ちます。
  • 通信機能: パソコンやスマートフォンと通信できる機能があると、データの転送や遠隔操作に便利です。

価格

  • 予算: 測定器の価格と性能を比較し、予算に合わせて適切なものを選びましょう。

静電気測定器の種類

  • 静電電位計: 電界を測定し、電位に変換して表示する機器です。非接触で測定できるため、測定対象物に影響を与えません。

   ・クーロンメーター: 物体に帯電している電荷量を直接測定する機器です。

   ・表面抵抗計: 物質の表面抵抗値を測定する機器です。

   ・抵抗率計: 物質の体積抵抗率を測定する機器です。

その他

  • メーカーの信頼性: 信頼できるメーカーの測定器を選びましょう。
  • アフターサービス: 故障や修理などの際に、アフターサービスが充実しているメーカーを選びましょう。

静電気測定器は、様々な種類があります。上記のポイントを参考に、測定対象や用途に合った測定器を選び、静電気対策に役立てましょう。

おすすめ 静電気測定器 メーカー

静電気測定器を選ぶ際に、メーカーの信頼性や実績も重要な要素となります。ここでは、おすすめの静電気測定器メーカーをいくつかご紹介します。

シムコジャパン

静電気対策の総合メーカーとして、静電電位計、クーロンメーター、表面抵抗計など、幅広い種類の静電気測定器を製造しています。
特に、FMX-004は、コンパクトで操作性に優れた静電電位計として人気があります。

シムコジャパン|SIMCO JAPAN 静電気測定器 FMX-004 FMX004

 

 

春日電機株式会社 カスガ

静電気除去装置、コロナ表面処理装置、静電気測定器、高電圧発生装置等、電気機器の開発 、製造、販売を行う会社。

デジタル静電電位測定器(KSD-2000)

静電気管理電圧が高い工程では、このデジタル静電電位測定器が適しております。
測定レンジ切替機能により、電子デバイスの低電位測定から樹脂成型品、フィルム・プリント基板製造等の高電位測定まで測定が可能。

シシド電気

昭和13年会社設立、産業界における静電気障害の克服を目的に、静電気除去装置の開発、生産販売。

シシド静電気 静電気測定器 スタチロンDZ4 

ロータリーセンサーヘッドで、狭い場所でも容易に計測できます。
センサー部が回転しますので、表示が読みやすい位置にセットできます。
帯電物に投影される赤色LED光で測定距離の調節が可能です。

 

ベッセル(VESSEL)

株式会社 ベッセル(英語: VESSEL CO.,INC )は、大阪府大阪市東成区に本社を置く工具メーカーである。1916年創業。

ベッセル(VESSEL) 静電気測定器 Eye-02 EYE02

イオンバランスと帯電電位の測定がおこなえるコンパクト静電気測定器です。

●数値が定まりにくい“高速で走行するワーク”の帯電や“連続測定”に便利な「最大値(ピーク値)表示」機能付です。

おすすめ チャージプレートモニター

ホーザン(HOZAN) チャージプレートモニター  F-237

 

静電気測定器 メーカー選びのポイント

  • 製品ラインナップ: 測定対象や用途に合った製品があるかを確認しましょう。
  • 精度と信頼性: 測定精度や信頼性が高いメーカーを選びましょう。
  • 価格: 予算に合わせて、適切な価格のメーカーを選びましょう。
  • アフターサービス: 故障や修理などの際に、アフターサービスが充実しているメーカーを選びましょう。
  • サポート体制: 技術的な質問や相談に対応してくれるサポート体制が整っているメーカーを選びましょう。

上記のメーカー以外にも、多くの静電気測定器メーカーが存在します。それぞれのメーカーの製品情報や評判を比較検討し、最適なメーカーを選びましょう。

静電気測定器のメンテナンス|校正

静電気測定器は、精密機器であるため、定期的なメンテナンスを行うことで、測定精度を維持し、長期間にわたって使用することができます。具体的なメンテナンス方法としては、以下の点に注意することが重要です。

日常的なメンテナンス

  • 清掃: 測定器本体やプローブに付着した埃や汚れを、柔らかい布で丁寧に拭き取ります。汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた液で湿らせた布で拭き、その後乾いた布で水分を拭き取ります。
  • 保管: 使用しない時は、直射日光や高温多湿を避けて保管します。また、埃や衝撃から守るために、専用のケースや袋に入れて保管することが望ましいです。
  • 取扱: 測定器を落下させたり、強い衝撃を与えたりしないように注意します。

 

定期的なメンテナンス 校正

静電気測定器の校正とは、測定器が表示する値が正しいかを確認し、必要があれば修正する作業のことです。

静電気測定器は、物体に帯電した静電気の量を測定する機器です。この測定器が正確な値を示さないと、静電気対策が適切に行われず、製品の不良や火災などの事故につながる可能性があります。

校正は、トレーサビリティの確保された基準器と比較して行われます。基準器とは、国家標準にトレーサブルな、より正確な測定器のことです。校正によって、静電気測定器の測定値が国家標準に traceability できるようになり、測定結果の信頼性が保証されます。

静電気測定器の校正は、一般的に以下の手順で行われます。

  1. 基準器の準備: トレーサビリティの確保された基準器を用意します。
  2. 測定器の調整: 測定器のゼロ点調整などを行います。
  3. 測定: 基準器と測定器を用いて、同じ条件で測定を行います。
  4. 比較・評価: 基準器と測定器の測定値を比較し、測定器の誤差を評価します。
  5. 調整: 測定器に誤差がある場合は、調整を行います。
  6. 校正証明書の発行: 校正結果を証明書に記録します。

校正は、ISOなどの品質マネジメントシステムの要求事項を満たすためにも重要です。企業は、静電気測定器を定期的に校正することで、製品の品質や安全性を確保する必要があります。

静電気測定器の校正は、専門の校正機関に依頼するのが一般的です。校正機関は、国家標準にトレーサブルな基準器を保有し、校正の専門知識を持った技術者が校正作業を行います。

校正の頻度は、測定器の種類や使用頻度、測定環境などによって異なります。一般的には、1年に1回程度の校正が推奨されています。

静電測定器の校正

静電測定器の校正

 

その他のメンテナンス

  • 電池: 電池式の測定器の場合は、電池の残量を定期的に確認し、必要に応じて交換します。
  • 消耗品: プローブなどの消耗品は、定期的に交換する必要があります。
  • 取扱説明書: 測定器の取扱説明書をよく読み、正しい使用方法やメンテナンス方法を確認しましょう。

*下記に静電測定器別のメンテナンスのポイントを記載しました。

静電電位計のメンテナンス

  • プローブの清掃: プローブの先端は、特に汚れやすい部分です。柔らかい布や綿棒などで丁寧に清掃します。
  • ゼロ点調整: 測定前に、ゼロ点調整を行うことで、より正確な測定ができます。

クーロンメーターのメンテナンス

  • 入力端子の清掃: 入力端子に埃や汚れが付着していると、測定値に影響が出ることがあります。柔らかい布や綿棒などで丁寧に清掃します。

表面抵抗計のメンテナンス

  • 電極の清掃: 電極に埃や汚れが付着していると、測定値に影響が出ることがあります。柔らかい布や綿棒などで丁寧に清掃します。

メーカーによるメンテナンス

  • 多くのメーカーでは、修理や校正などのメンテナンスサービスを提供しています。測定器に異常を感じたら、メーカーに相談することをおすすめします。

静電気測定器を適切にメンテナンスすることで、測定精度を維持し、長期間にわたって使用することができます。

静電気管理で重要な湿度温度管理|湿度温度測定器

静電気測定で重要な環境要素は湿度、温度です。この湿度、温度を一定に管理調整しないと測定した測定値にバラツキが発生し、正しい測定、分析ができなくなります。

湿度測定は難しいことであって,露点湿度計が信頼できるが,これは簡便ではない。そこで温度計を2本そなえていて,湿らせたガーゼで片方の根元をくるむ乾湿球湿度計が広く使われている。
下図にこれを示す。乾湿球湿度計は,人が目盛から読み取らないと測定にならない。毛髪湿度計は指示型で便利であるけれども,経年変化があって,校正が必要である。

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静電気測定の繰り返し性

帯電性の測定は簡単なようでいて,なかなか難しいものである。その理由の一つは,電荷発生の繰り返し性の悪さである。一定と思われる条件で物体を摩擦片で摩擦すると,発生する電荷はいつも同じ量であるとは限らない。むしろ発生量だけでなく,電荷の極性まで変化してしまうことがあるほどに,ばらついてしまうことの方が多い。そこで,幾つかの物質の帯電特性を比較するためには,測定はかなり多数回繰り返して行う必要がある。

電荷発生の測定結果がばらつく主な原因として,以下の項目があげられる。
① 電荷の発生は表面のわずかな組成・分子配列の違い,汚染などに敏感である。
② 摩擦中に表面が変化する。
③ 摩擦条件を微視的に完全に同一にすることは極めて難しい。
④ 摩擦中,あるいは摩擦を終了し,摩擦片を離す際に静電気放電が起こる。

物体表面を摩擦したり,密接な接触が起こるような条件で接触させると,一般に発生電荷量が多く,電荷が発生している表面の電界はすぐ静電気放電が起こる条件に達してしまう。特に摩擦片や接触片を被接触物体から離す際に静電気放電が起きやすい。静電気放電が起こると帯電面の電荷の量も極性も大きく変化してしまうから,これでは一体何を測定しているかわからなくなってしまう。摩擦や接触のような帯電操作を繰り返し実行している途中で静電気放電が起こると,電荷量は単調な飽和カーブと異なり,不規則な増減を繰り返すようになる。

 

測定値が静電気放電の影響を受けないようにするためには,測定雰囲気を真空にすればよい。真空度が10-3Torr (1 Torr = 133.3 Pa)より高真空の領域に入ると,ほとんど放電は発生しなくなる。そのため真空中の実験では,電荷量は空気中より多くなりやすい。真空中では湿度もゼロだから,雰囲気としての条件は空気中よりきちんと押さえられる。そこで研究のためには,真空中での帯電実験がかなり行われている。

 

業界ごとの静電気測定器の利用

静電気は、様々な業界で問題を引き起こす可能性があり、静電気測定器は各業界でそれぞれ特有の用途で利用されています。主な業界と静電気測定器の利用例をまとめます。

電子部品・半導体業界

  • 課題: 静電気に非常に敏感な電子部品や半導体は、静電気放電による破壊や誤動作のリスクが高い。
  • 利用例:
    • 静電電位計: 作業者の衣服や工具、製造装置の電位を測定し、静電気放電のリスクを評価。
    • クーロンメーター: 電子部品に帯電している電荷量を測定し、品質管理を行う。
    • 表面抵抗計: 部品の表面抵抗を測定し、帯電防止性能を評価。
  • 測定器のポイント: 高感度、高速応答性、微小電位測定

自動車業界

  • 課題: 車体塗装工程や内装材の組み立て工程で静電気が発生し、塗料のムラや異物付着、部品の破損などを引き起こす。
  • 利用例:
    • 静電電位計: 車体や塗装ブースの電位を測定し、静電気対策の効果を確認。
    • クーロンメーター: 塗装ガンや作業者の電荷量を測定し、静電気の発生源を特定。
  • 測定器のポイント: 耐久性、耐薬品性、広い測定範囲

プラスチック・フィルム業界

  • 課題: プラスチックやフィルムは、製造工程や加工工程で静電気が発生し、材料の付着や反発、埃の吸着などを引き起こす。
  • 利用例:
    • 静電電位計: フィルム表面の電位を測定し、帯電防止処理の効果を確認。
    • クーロンメーター: フィルムに帯電している電荷量を測定し、品質管理を行う。
  • 測定器のポイント: 非接触測定、高速応答性、広い測定範囲

印刷・製紙業界

  • 課題: 紙やフィルムの搬送時に静電気が発生し、紙詰まりや印刷不良、インクの飛散などを引き起こす。
  • 利用例:
    • 静電電位計: 紙やフィルムの電位を測定し、静電気除去装置の効果を確認。
    • 表面抵抗計: 印刷用紙の表面抵抗を測定し、印刷適性を評価。
  • 測定器のポイント: 非接触測定、高速応答性、安定した測定

医療業界

  • 課題: 手術室や医療機器に静電気が発生すると、医療機器の誤動作や患者の感電を引き起こす可能性がある。
  • 利用例:
    • 静電電位計: 手術室の床や壁、医療機器の電位を測定し、静電気対策の効果を確認。
    • 表面抵抗計: 医療機器の表面抵抗を測定し、帯電防止性能を評価。
  • 測定器のポイント: 高感度、安全性、ノイズ耐性

 化学・石油業界

  • 課題: 可燃性ガスや粉塵が存在する環境では、静電気による火災や爆発のリスクが高い。
  • 利用例:
    • 静電電位計: タンクや配管の電位を測定し、静電気放電のリスクを評価。
    • 表面抵抗計: 作業者の衣服や工具の抵抗値を測定し、帯電防止性能を評価。
  • 測定器のポイント: 防爆構造、耐薬品性、信頼性

食品業界

  • 課題: 食品の包装工程や搬送工程で静電気が発生し、異物混入や包装不良などを引き起こす。
  • 利用例:
    • 静電電位計: 包装フィルムや食品の電位を測定し、静電気除去装置の効果を確認。
  • 測定器のポイント: 非接触測定、衛生的な設計、食品への影響が少ない

繊維業界

  • 課題: 繊維の製造工程や加工工程で静電気が発生し、繊維の絡まりや埃の付着、不快感などを引き起こす。
  • 利用例:
    • 静電電位計: 繊維の電位を測定し、帯電防止処理の効果を確認。
    • 表面抵抗計: 繊維の表面抵抗を測定し、帯電防止性能を評価。
  • 測定器のポイント: 非接触測定、高速応答性、微小電位測定

このように、静電気測定器は様々な業界で利用されており、それぞれの業界の課題やニーズに合わせて、最適な測定器を選ぶことが重要です。

静電測定器の活用

 

 

静電気除去  参考文献

トコトンやさしい静電気の本

実務で使う静電気対策の理論と実践: 事例で解説!

静電気を科学する

参考文献:

静電気の基礎と帯電防止技術 著者:村田雄司 日刊工業新聞社
たのしい静電気  著者:高柳 真
静電気トラブル Q&A  監修:田畠泰幸
図解 静電気管理入門 著者:二澤 正行 工業調査会
静電気がわかる本―原理から障害防止ノウハウまで 高橋 雄造 (著)
電気機器の静電気対策 (設計技術シリーズ) 水野 彰 (監修)

まとめ

静電気は、目に見えない電子の動きによって起こる現象ですので問題点を分析する時は測定し見える化をしなければなりませんが静電気は周囲の環境により瞬時にデーターが変化するので測定が容易でありませんが正しく測定すれば様々な分野で静電気によるリスクを低減し、安全な環境を確保するために役立ちます。

コメント

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