帯電

接触・分離による帯電
接触・分離による帯電

帯電とは?  charge  【図解】

英語: charge 中国語:带电

帯電(たいでん)とは物質が電気を帯びる現象である。 別の物体から電子を奪った場合にはに帯電し、逆の場合はに帯電する。 帯電したまま動かずにいる電気を静電気という。 絶縁体同士を摩擦することなどにより、この現象を起こすことができる。

なぜ帯電する?

異種の物体(固体か液体)が接触してのち分離すると静電気が起きる。両物体がもとは帯電していなくても,分離のときに電子の移動が起きて帯電する。図1.1は,2つの物体が接近し,接触し,分離して帯電する過程の説明である。

分離帯電

分離帯電 画像出典先:静電気を科学する 高橋雄造 (著)

 

静電気は物体が2つに分かれるときに現れ,一方の物体がに帯電するならば,他方はに帯電する。こういった帯電は異なる種類の二物体の摩擦でもっとも典型的に見られる。現実には,物体が同種であっても,表面の汚れなどの状態の違いがあるので摩擦帯電が起きる。もともとは1つであった物体が2つに分かれるときにも帯電する。物体が電気的に中性(帯電していない)であっても,2つに分かれるときに帯電する。

2つの物体が接触していて,圧力がかかったり摩擦があったりして,そのあとに物体が分離すると静電気が起きやすい。

 

帯電時の極性

2つの異種物体が分離してどちらが正にどちらが負に帯電するかは,物体の材料の組み合わせで決まる。これについては,表1.1のような帯電列がわかっている。2つの物体を押しつけたり摩擦したりしてから分離して起きる帯電は,この序列で決まる。2つの物体の帯電列上の間隔が大きいければ,帯電しやすい。

帯電列表

帯電列表 画像出典先:静電気を科学する 高橋雄造 (著)

 

分離によって物体の一方がある極性(たとえば正)に帯電すれば,他方の物体はこれと反対の極性(たとえば負)に帯電する。物体が導電性であって接地につながっていると,分離によって生じた電荷は接地へ逃げてしまうので,結果として帯電しない。ある物体が,接触または分離する相手によって正にも負にも帯電し得る。
帯電列の負の端にはテフロンやポリエチレンがある。通常、プラスチックは負に帯電する。正に帯電する材料は,羊毛や人の髪の毛のようなたんぱく質系のもの,プラスチックではナイロン(ポリアミド)である。

同じ材料でできている2つの物体でも,分離による帯電が生じる。それは,物体の表面は現実には汚れたり酸化したりしているからである。純粋かつ清浄な状態であれば表1.1の帯電列が成り立つが,大気中の実際の物体ではこれからずれることもある。

このように,物体が正か負のどちらに帯電するかは,接触・分離する相手である物体と面の状態で決まるが,日常の実際では,絶縁物が負に帯電しているのに出くわすことが多い。

静電気問題は,帯電の極性によって異なる場合がある。たとえば,静電気放電が絶縁物表面に残す傷跡は,帯電が負であると大きい。帯電の極性をいつでも区別して観察,記録することが必要である。

 

帯電とリーク

いままでの説明で“帯電”と書いたが,正確にはこれは電荷発生あるいは発電である。物体が持つ電荷は,大地に向かって刻々と流れる。これをリーク(漏洩,もれ)という。現実に検出される帯電の状態量は発電からリークを差し引いた結果である、よって電荷発生が大きくても,リークを増やしてやれば静電気問題は起きにくくなる。

静電気問題は古くからあったが,現代では障害や事故の原因となることが多い。
それは,絶縁抵抗が高いプラスチック材料の使用によって,帯電した電荷がリークして接地に逃げにくくなったからであり,またエアコンの普及による雰囲気の低湿化でリークが低下しているからである。

 

絶縁物からの電気のリークは,表面を伝わって流れることが多い。金属や導電性物体ならば,大地に結ぶ(接地する)ことで,電荷は消失する。電気抵抗の高い材料はリークが小さい。界面活性剤帯電防止剤と称することもある)を塗布すると,物体表面のリークを大きくできる。

 

界面活性剤は,その分子中に親水基と親油基(疎水基)を持つ一種のせっけんである。ふつうの中性洗剤でも,プラスチック製品などの静電気で困ったときに薄めて塗布すると,効果がある場合がある。

物体自体の電気抵抗を小さくするには,カーボンブラックなどの導電性材料を混入する方法がある。静電気対策品と称する作業用の物品にはこういったものが使われている。自動車のタイヤもその例で,カーボンの微細粉を練り込んであるので相当程度の導電性を持っており,これにより自働車ボデイはふっうは接地状態にある。いすのジョイントやキャスター,プリンタなどの歯車やその軸,そして床材やマットに導電性を持つ材料を使用すると,リークが増して静電気問題に対して実効があることが多い。

気体、粉体は帯電する?

ガス蒸気のような気体は純粋に気体で取り扱う限り帯電しません。しかし、粉体と一緒に取り扱ったり、錆やゴミなどの固形物が混じると、このような固形物が帯電し放電を引き起こす危険があります。

過去に配管が破裂して水素やメタンが漏れだして火災となった例では、ガスに含まれていた鉄錆等の不純物の帯電が着火の原因と考えられています。また、プロパン、消火器等の液化ガスは、液体または気体と液体の混合状態で噴出させると大きく帯電することがわかっていますので、取り扱う時には、帯電の危険を把握しておくことが重要です。

図2.19は,その説明である。このノズルをガスの口金に近づけるとノズルーロ金間に放電が起き,その火花でガスが点火するのである。これは,デモンストレーションとしても印象の強い実験である。

この消火器ノズルの帯電は霧吹き器の帯電と同じ現象である。実際に,消火器ではないがボンベからLPGを噴出させたときに着火したと見られる事故例がある。

消火器の静電気トラブル

消火器の静電気トラブル

参考記事:静電気による爆発、引火事故事例【図解】

静電気除去.com
 
2016.12.22
静電気による爆発、引火事故事例【図解】
https://静電気除去.com/electrostatic-trouble/ignotion
【図解】静電気による爆発、引火事故事例工場向けの静電気防止、静電気除電対策のガイドとして下記のポイントをメインに解説しています。・静電気防止、静電気除電の原理、仕組み・静電気防止、静電気除電の違い・静電気防止、静電気除電グッツ工場、現場等での静電気除去対策にご活用ください。(^_^;)動画 静電気による爆発、引火事故静電気に帯電した体から指先を通して火花放電が起こり,気化したベンジンに着火。静電気事故事例1:ガス,液体,粉体の爆発、着火工場などで静電気放電が生じると可燃性ガス,液体,粉体の着火・爆...
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