静電誘導

静電誘導による帯電
静電誘導による帯電
  1. 静電誘導とは? static induction  【図解】
    1. 静電誘導現象による帯電メカニズム
    2. 「静電誘導時計」を開発 世界初!

静電誘導とは? static induction  【図解】

英語:static induction 中国語:静电感应

静電誘導は帯電物体の付近に大地から絶縁された人体や金属製工具等の導電性の物体が接近したときに、その導電性物体の電位が上昇し、かつ、内部で正(十)負(-)の電荷の電離が生じる現象です。

このような状態になると、正負どちらか一方の電気を帯びて帯電した物体とまったく同様に、これから火花放電などのエネルギーの大きな放電を発生しますので非常に危険です。静電誘導は、電気抵抗が小さい接地されていない物体に起こる特有な現象ですから、その物体を接地することによって完全に防止することができます。

下図のスリッパの事例でいうと、カーペットとの摩擦で底がプラスに帯電したスリッパは静電誘導によって人体の下半身にマイナスの電荷を誘起する。一方では、スリッパとの摩擦でマイナスに帯電したカーペットの静電誘導で絶縁性の床の下にある地面や導電性の物体にプラスの電荷が誘起される。

したがって、マイナスの電荷をもった指先を、プラスの電荷をもつ導電性の物体に近づけると、激しい放電が起こる。孤立した導体との間でも放電は起きるが、接地した導体の方が電流が流れれやすいので、結果的には強い放電になる。

またこの場合は、電流が体内を直接流れるので、電撃も大きく感じるのである。
しかし、静電気は帯電量が限られているので、静電気の放電によって感電死することは、まず起こらない。それよりも、電撃のショックで体をぶつけたり、高いところから落ちたりする方が危ないので、気をつけなければならない。

又、時にはには放電の火花によって、室内にたまったガスや塗料の揮発性ガスに火がつき、爆発したり火災が起きたりすることもある。

 

静電誘導による人体の帯電と放電

静電誘導による人体の帯電と放電

 

静電誘導現象による帯電メカニズム

帯電物体A(あるいは電圧の印加された電極)のそばに帯電していない物体Bがあると,図1.4に示すように,物体B上で物体Aに向かい合う面に,物体Aとは逆極性の電荷が誘導される。この現象を静電誘導という。

物体B上で物体Aと反対の面には,物体Aと同極性の電荷が生じる。もともと帯電していなかった物体に,等量の正電荷と負電荷が反対の場所に現れるのである。この現象は,学校の理科での,箔検電器に帯電した棒を近づける実験で見られるのと同じである。

静電誘導現象

静電誘導現象 画像出典先:静電気を科学する 高橋雄造 (著)

このとき,導体(金属など)では電子が導体内を移動するが,誘電体(プラスチックほか絶縁物)では“分極”という現象で静電荷と負電荷が分かれて現れる。

静電誘導の結果,物体Bは帯電物体Aと同じ極性の電位を持つ。その電位は,物体A・物体B間の静電容量C1と,物体Bの対地静電容量C2で,帯電物体Aの電位Vaを分圧した値である。すなわち,次の式で与えられる。

Vb=Va×C1/(C1+C2)

物体AとBは,極性が逆で向かい合っているから,引力が働く。同様に,物体Bと接地間にも引力が働く。これら2つの引力が“綱引き”した引き算の結果が物体Bを動かす。

帯電物体のそばに人がいてなにか作業をすると,人の腕や手指(物体B)から帯電物体Aと同極性の放電が第3の物体Cに向かって起きることがある。人の腕や手指は,物体Cに対しては物体Aと同じ極性に帯電しているのと同じ作用をする。
これらのさまは,磁石に鉄釘をつけると,図1.5のように釘がさらに別な釘を吸いつける磁気誘導に似ている。 (NSNS……と磁極が現れる現象。)

 

電極に高電圧を印加したり,物体の帯電電位が高くなると放電する。放電の知識は静電気問題を扱うときに必要である、図1.6に代表的な放電の例を示す。

代表的な放電

代表的な放電 画像出典先:静電気を科学する 高橋雄造 (著)

電極間の空気ギャップをブリッジする放電を火花放電という。じゅうたんの上を歩いてドアのノブにさわったときに,指先とノブとの間に飛ぶ放電は火花放電である。部屋の照明を点けたり消したりするときに壁のスイッチの奥に光が見えるが,これも火花放電である。雷も火花放電である。

電極が尖っていたり,細い線であったりすると,尖端や線で放電が起きる。これをコロナ放電という。電極でなくても尖端であれば生じるので,雷雲が近づいたときなど,槍の先や船のマストに見られることが古くから観察されている。王冠やビールびんのふたのように,なにかのてっぺんにある小さなリングに見えるのでコロナという。

架空送電線には尖った場所がたくさんあるから,コロナ放電が起き,雨の口にはとくに生じやすい。暗ければその光が見えるし,電磁ノイズとしてラジオの邪魔になる。

絶縁物の上に電極があると,放電は面上を広がる。これを沿面放電という。
沿面放電は,帯電したプラスチックの表面にも起きる。ポリ袋や,ファックス,プリンタ,複写機の朧体や給紙トレーに見られる鳥の足跡のような模様は,洽面放電の跡である。

放電はある程度高い電圧でないと起きない。静電気が原因で生じる放電(静電気放電)ならば,帯電電位が高くないと生じない。どの程度の電圧で放電するかは,コロナ放電と沿面放電では,電極の大きさほか,条件によって変わる。火花放電では,大気圧空気中ではギャップ長で放電電圧が決まる。

大気中での火花放電の起きる電圧は,平等電界ではだいたいのところギャップ長に比例する(正確には,火花の電圧の上昇はギャップ長に比例するよりもややゆるやかである)。

*帯電についての詳細は下記の記事を参照してください。

参考サイト:静電気の理論

「静電誘導時計」を開発 世界初!

シチズン時計株式会社(本社:東京都西東京市/社長:佐藤 敏彦、以下 シチズン)は世界初、静電気の現象を利用した「静電発電」と、「静電モーター」の2つの機能を持ち合わせた「静電誘導時計」を開発しました。

この機構を搭載した製品を新ブランド「ACCUTRON(以下、アキュトロン)」より11月下旬に発売しています。

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