火花放電

  1. 火花放電 spark discharge 【図解】
    1. 歴史
      1. 火花放電の特性

火花放電 spark discharge 【図解】

英語: spark discharge       中国語:火花放电

火花放電とは、2電極間へ与える電圧がある限界を超えると、瞬間的に大きな電流が流れ、火花と音を伴った放電が生じる現象です。

火花放電は不連続、瞬間的な放電で通常は短時間に消滅します。火花放電はフラッシュオーバとも呼ばれています。

この火花放電の火花が飛び散る寸前がコロナ放電で、この火花放電が連続するとグロー放電、アーク放電へ進展します。

 

歴史

1671 年、 ライプニッツは 火花が電気現象と関連していることを発見しました。  1708年、サミュエル・ウォールは 琥珀 を布でこすって火花を発生させる実験を行いました。

1752年 ベンジャミン・フランクリンの有名な 凧実験 では、雷雨の際に雲から火花を引き出すことに成功しました。

 

火花放電の特性

火花電圧は空気の密度(気圧)にも依存し,気圧が下がると火花電圧は減少す
るが気圧が大きく下がると火花電圧は再び高くなる。

つまり,この特性は下に凸な曲線である。空気中の火花電圧対ギャップ長・気圧特性はよく調べられていて,パッシェン電圧とかパッシェン曲線とか呼ばれている。

下図は空気のパッシェン曲線であり,火花電圧は[絶対気圧×ギャップ長]の関数であるので,横軸はこれである。大気圧空気ではパッシェン曲線の極小はおおよそ8μmで生じ,その電圧は約300Vである。すなわち,空気中では(特殊な例外を除いて),300V以下では火花放電は生じない。

パッシェン曲線

パッシェン曲線  画像出典先:静電気を科学する 高橋雄造 (著)

火花電圧は,ガスの種類によっても異なる。アルゴンやネオンなどの希ガスは,空気よりも低い電圧で放電する。ネオンランプの橙色は,ネオン特有の色であり,ネオンランプではガス圧を低くして放電電圧をさらに下げている。ガス圧が低いと,ネオンに限らず空気でも放電チャンネルは広がってグロー状になる。ガス圧(や気圧)が高くなると放電チャンネルは細くなる。

常温の大気圧空気中(パッシェン曲線の極小よりも右側、すなわちギャップ長が数分の1mm以上の場合)では,火花放電の起きる電圧は1mmあたり約3kVである。

パッシェン電圧は平等電界を想定しているので,電圧の極性には関係しない。厳密には,パッシェンの法則は電極が平行平板の平等電界形電極の場合に成立するのであり,電極が尖っている場合には適用できない。静電気を扱う場合には平行平板に近い電極ではない場合が多いが,極端に尖っていない限りはパッシェン電圧を火花電圧の基準として使うこともある。

なお,ギャップ間が空気でなく固体や液体の絶縁物であると,絶縁物の厚さ1mmあたり3kVよりもずっと高い電圧に耐える。平等電界であって,気泡や異物のない理想に近い場合は,10倍以上の耐電圧が期待できる。したがって,固体絶縁物や液体絶縁物を使うと高電圧絶縁を小型につくることができる。

不平等電界では,ギャップ長が同じである平等電界の場合の火花電圧と比較して,低い電圧で放電が起きる。針や細い線では,パッシェン電圧よりもずっと低い電圧で放電が始まり,しかも火花放電でなくコロナ放電が生じる。尖った物体(とくに金属の)からは放電が起きやすい。

コロナ放電であっても,電圧をずっと高くすると火花放電に転化する。コロナから火花に転化する電圧は,同じギャップ長で平等電界型電極のパッシェン電圧よりも高いことが多い。 したがってコロナ放電は,尖った電極から火花放電が起きないように弱い放電にとどめる作用をしていると考えることもできる。

 

ギャップ長が数十cm以上の場合,平等電界型電極であることは実際にはほとんどない。大気中では長ギャップ・不平等電界であっても,火花放電には1cmあたり約5kVが必要である。この値は,高電圧絶縁設計の目安になる。

 

さて,火花放電の結果,電極は短絡状態(ショート)になる。高電圧が存在したのが短絡されるのであるから,ここで大きなエネルギー消費があり,発熱したり,大きな音がしたり,ラジオノイズが放射されたりする。このエネルギーによって,可燃性雰囲気で着火・爆発が生じ得る。沿面放電でも着火・爆発につながる可能性がある。

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