静電気防止リストバンドの購入ガイドとして下記のポイントをメインに解説しています。
・静電気防止リストバンドの原理、仕組み、効果
・静電気防止リストバンドの使い方、着用
・静電気防止リストバンドのメーカー比較、種類
・静電気防止リストバンドの保管、お手入れ、設置
・静電気防止リストバンドのおすすめネット通販商品、ランキング、口コミ
ご参考になれば幸いです。(^_^;)
動画 リストストラップの効果
リストストラップとは? |英語:wrist strap
非常に帯電しやすい人体の電荷を大地(アース)逃すには、人体は導体に近いので、接地がとても有効的な手段になります。
人体の接地するツールとして「リストストラップ」があります。
リストストラップとは、人体より発生する静電気が、作業中に製品に悪影響を与えないよう作業者の皮膚を接地することで、人体の電位を逃す為のツールです。静電気防止を行う上でリストストラップは必ず着用するべきです。
EPA (静電気放電保護区域)を構成する静電気管理製品の最も重要で、古くから使用されているものにリストストラップがあります(図1)。
なぜ、ESDS製品(静電気に敏感なデバイス、製品、部品)を取り扱う作業者を接地しなければならないかということは、火薬を人類が使用し始めた時代にすでに経験的にわかっていたようで、以後さまざまな接地方法で人体を接地しています。
大航海時代に帆船の火薬庫で仕事をしていた水兵は、海水で湿ったフェルト製の靴を履いており、また火薬の運搬車にはチェーンが取り付けられていたという記録もある。
ESDS用に使用されているリストストラップは、作業者の使いやすさなどを重視し以前のものと比較にならないほど立派なものになってきています。
リストストラップの耐久性に重点をおいた厳しいMIL仕様書なども開発されてきています。しかし、基本的な機能に変化がありません。
また、現在のリストストラップには、人体の保護抵抗が組み込まれています。又、過大な電流が流れたり他の機械的な危険があった場合に瞬時に人体よりリストストラップを取り外すことができるような装着点における着脱力の規定値も定められてきています。
ところで、このリストストラップの厄介な所は、上記のように比較的信頼性を要求されている割に壊れやすいこと、つまり寿命が短いという点です。したがって、ユーザ側から要求される監査手順書にも毎日の検査や定期的な接続不良、コードの劣化検査、カフ部と皮膚との接触の安定性など多くの点検項目があります。
リストストラップは、他の接地器具とあわせて使用することが多いのが一般的です。机に着座した作業と立ったままで行う作業、着座での場合の椅子の種類、作業机に取り付けるフットレストの位置、合成抵抗の計算等、作業表面の接地まで現場でステーションを組み上げる場合に考慮が必要となります。
リストストラップは、作業者と取り扱っているESDSアイテムを同じ電位に維持するための装置です。一般的には、作業者とESDSアイテムを接地に接続します。
*EPAとは、ESD Protected Area の略語であり、ESD(静電気放電)を防止した区域を意味します。静電気に対して敏感な部品に対して静電気による損傷を防止します、EPAで使用する用具には「静電気帯電防止品」を使用することで、静電気の発生を防止します。
JIS 日本工業規格ではJIS C 61340-4-6 静電気−測定方法−材料及び製品の静電気電荷拡散性能の測定方法の中にリストストラップの試験方法を規定している。
詳細は下記のサイトを参考にしてください。
JISC日本工業標準調査会サイト
リストストラップの試験方法 日本工業規格はJIS C 61340-4-6です。JISC日本工業標準調査会サイト内のJIS検索から内容が閲覧可能です。(但し印刷不可)
*現在はIEインターネット エクスプローラーのみ閲覧可。
kikakurui.com |JIS規格票をHTML化したサイト
リストストラップの試験方法 日本工業規格 JIS C 61340-4-6が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず)
リストストラップの試験方法 JIS C 61340-4-6
静電気防止リストバンド の基本構造|原理
リストストラップの基本構造は、図1に示したように手首に取り付ける力フ部(リストバンド)とその接続部、リード線、アース接続部で構成されています、基本的にはその英語の直訳のように、手首の紐で接地にある程度の抵抗値を持って接続する器具です。
リストストラップ カフ(cuff) |静電気防止リストバンド
カフ部分に最も必要とされる特性としては、人体の皮膚とカフ部分との間で良好な電気的接触が得られることです。これは、リストストラップを着用して対策を施しているとしても、人体とリストストラップが電気的に接続されていなければ、対策していないのと同様であるからです。また、安全管理の関係から、避難など緊急時に接地コード部分とカフ部分が、簡単に取り外せる機構を持たせることも必要な特性です。 ANSI ESDでは、その取り外し力は、13N以上36N以下と規定しています。
一般的に、リストストラップは、皮膚との接触を確実にするために、バックルやスナップヘッドの下にステンレスのような金属を使用しています。ただし、この金属部分は、接地コードを引っ張った場合、金属板が持ち上がることがあり、接触の問題や金属板が皮膚に食い込むなどの問題があるので、接続部分の真下などのごく一部に使用しています。
MIL-PRF-87893では、リストストラップカフの凸型スナッププレート外側表面上、あるいは、使用者の手首に接触する非酸化性スナッププレート上にMIL-STD-130に規定された彫り込み、電気アークペンシル、電気化学エッチング、モールド方法を使用して表示を行います。
接地接続器具とリストストラップを接続するのには、通常、衣服や皮製品で使用する金属製のスナップ留め具を使います。スナップ留め具には、4mm(1/8”)と7mm(1/4”)の2つの大きさがあります。
一般的に、4mm留め具は、凸留め具がカフ側にあり、凹留め具がコード側になります。しかし、7mm留め具には、そのような場所による規定はありません。実は、我が国では、この留め具の大きさの規定がありませんでした。そのため、プログラムを作成したり、再調整し、リストストラップを選択する場合、留め具の大きさと位置を規定するようにして、新しく購入したものと既存のものとの適合性が良くなるようにします。
リストストラップ 接地コード部分
接地コード部分は、接地接続のために、一方の端がカフ部へ、もう一方の端が端子部へ取り付けられるような接続端子部のある、直線、伸縮性コイル状のワイヤ(多層よりあわせライナー、あるいは螺旋巻きの金糸線で、絶縁層は、2層ポリマー、丈夫な合成ゴム、あるいはビニールのもの)により構成されています。コードの接地可能端は、ほとんどの場合、バナナプラグかそれに装着できるようになったスナップ端子やワニロプラグです。
しかし、特に規定がなければ、接地に取り付けるいかなる電気的接続点も、機械的に耐久性がある限り使用することができます。また、両端に同じ接続留め具を使用している接地コードは、一般的に、両端に電流制限抵抗が入っています(なお、最近の標準などで、ワニロクリップの使用を制限しているのは、クリップでの接続により合成抵抗値が規格値を越えてしまうからです)。
ここで最も重要なことは、カフ部分側の接続部には、作業者の安全性のためにカフ部分への接続口に、1MΩの抵抗が組み込まれているということです。
これは、作業者が誤って高圧電源に接触してしまった場合に、一方の手が、抵抗の入っていないリストストラップに繋がれていると、電撃死してしまうことがあるためです。ここで、使用しているほとんどの抵抗は、1MΩです。つまり、実行電圧250vで1/4wです。リストストラップの安全抵抗については、一般に750k Ω~10M Ω に定められています。
また、接地コードに求められる仕様としては、引っ張り、折り曲げに対する強度が挙げられます。そもそも、人体を紐でつなぐこと自体が、作業者にとっては心理的な負担となり、静電気対策製品であるリストストラップを着用したがらないということも考える必要があります。そのため、作業者に、紐で繋がれていることを意識させないためにも、伸縮性のある力-ルコードを用いるという考え方もあります。
リストストラップの選び方
リストストラップの種類は、構造、使用目的によってさまざまに分類しています。
使用目的による分類では、一般仕様のものと、リストストラップモニター着用のためのものがあります。
リストストラップを効果的に使用するためには、カフ部の皮膚接触が最も重要なので、しっかり手首にフィットし、完全に皮膚と接触するように使用しますが、作業者に不快感を与えるような装着を避けるようにします。また、使用時の安全性を保持するために規定の接続点に装着するようにします。
カフ部分と接地コード部分から成るリストストラップは、一見単純な組立て品に見えますが、選択時には、人体安全性、作業性、品質管理などの観点を考慮する必要があります。主に選定時の内容としては下記のことを検討する必要があります。
①耐溶剤特性
作業領域内で使用する可能性のある溶剤によって、リストストラップの構成材料が劣化ないこと、特性が変化しないことを確認します。これは、リストストラップは手首に装着するので、誤って溶剤がカフ部やリード部分にかかり接触不良等の不具合を低減させる為です。
②耐汗性
人体の汗が原因でリストストラップの金属製部分に錆や金属腐食に対する耐久性を点検します。また、繊維製、プラスティック製のカフの場合は、吸着現象により汗の塩、が蓄積し、コンタミや抵抗増加につながるので錆、腐食、コンタミ発生の試験などが必要です。
③留め具の構造(着脱性)
リストストラップの着脱加減を点検。リストストラップは着脱が簡単で、作業中にあまり簡単にはずれることことのない程度の接合力が必要です。簡単に外れてしまうと、静電防止効果の低下につながるので、各コネクタ部分(カフとリード、リードとアース端子)は、ある程度の接合力が必要です。但し、過大な電流が流れたり他の機械的な危険があった場合に、瞬時に人体よりリストストラップを取り外せなけばなりません。
④接地ワイヤー(強度、長さ)
接地ワイヤー(リード)の強度は、着脱試験で定めた基準値を上回っているか点検。
⑤寿命、信頼性
ライフ(寿命)試験装置により、リストストラップの交換サイクルを点検します。しかし、この寿命は、リストストラップの構造や破壊モードにより変わるので、定期的な接続不良、コードの劣化検査、カフ部分と皮膚間との接触の安定性などの点検が必要です。
⑥電流限界抵抗
電流限界抵抗は、高電圧電源からの電流値をあるレベル以下に設定され、通常1MΩ~800kΩ程度となっています。この抵抗値の点検には、ステンレスシリンダにリストストラップを取り付け、そのシリンダとアース間の抵抗を測定する方法があります。
⑦使いごごち
作業者に不快感を与えない装着感(違和感)を点検します。リストストラップは、直接人体へ装着することから、作業者には違和感があるものです。近年では、デザインの改良も進み不快感は軽減されつつありますが、着脱作業が面倒や手首への重量感など問題点は色々です。中でも、洗浄ができないことへの不潔感及びカフ部分の金属製のボタンにより使用後に手跡が残るなどの不快に関しては、リストストラップの選択で解決で可能です。
リストストラップの主要目的は、人体の静電気を逃がすことですが、リストストラップを着用することで、作業性を落としたり、汚染を発生させたりすることがなく、しかも、長時間着用しても作業者に負担がかからないように設計されたものを選択するようにします。また、抵抗を介して接続していますが、接地へ接続しているために、人体の安全性については十分に考慮する必要があります。
リストストラップの選び方|メーカー別
市場にはコードレスのリストストラップが存在しますが、これは電撃を防ぐ効果はありますが、デバイス保護の観点では効果がないのでご使用になれません。
サンワサプライ |静電気防止リストバンド
各種コンピュータサプライ商品の企画・製造・販売/パソコン・周辺機器の取り扱い
おすすめ商品: 静電気防止リストバンド コードレスタイプ TK-SE11
●煩わしいグランドコードのないコードレスタイプの軽量リストストラップです。
●バンドは12μmの導電繊維入りで、人体に帯電した電気を放電します。
ホーザン |静電気防止リストバンド
弱電作業環境に必要な製品や電気工事士技能試験用工具などを幅広くラインナップ。精密ニッパー・圧着工具・ピンセット等の手工具、工具セット、静電気対策品、クリーン環境対策品などを取り扱う工具総合メーカー。
おすすめ商品:HOZAN(ホーザン) リストストラップ F-155
コード付リストストラップ コードレスタイプとの比較 動画
コード付リストストラップとコードレスタイプリストストラップの効果を比較した動画です。業務で仕事する場合、必ずコード付リストストラップを着用しないと後でトラブルの元になります。
エンジニア |リストストラップ
旧社名は、双葉工具株式会社。弱電用工具メーカー。2009年に潰れたねじ頭をつかんで回せるプライヤ「ネジザウルスGT」を発売してヒット商品となり、一躍脚光を浴びる。
おすすめ商品:エンジニア クリーンルーム対応リストストラップ
●シリコンラバー製で発じんのないリストストラップです。
●クリーンルーム内での電子機器の組み立てや検査作業に最適です。
スリーエム(3M) |リストストラップ
3M (スリーエム)は、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポール郊外のメープルウッドに本拠地を置く、世界的化学・電気素材メーカー。
おすすめ商品:3M アジャスタブル リストストラップ
●半導体工場、電子部品工場、精密電子機器組み立て工場などでの、人体の静電気除去。
●グランドコードを鉛フリー塩ビ被覆、はんだ付け部分を鉛フリーはんだに変更し、環境対応しています。
アズワン |リストストラップ
アズワン株式会社(AS ONE Corporation.)は、大阪府大阪市西区江戸堀に本社を置く、研究用機器ならびに計測機器・科学機器の販売をおこなう企業である。1933年創業。
おすすめ商品:アズワン リストストラップ
●コード付きのリストストラップです。
●グランドコードには、人体保護のために1MΩの抵抗が入っています。
HAKKO 白光株式会社 |帯電防止用リストストラップ
はんだ付け関連ニーズの製品を製造、販売。
おすすめ商品:白光:静電気対策 帯電防止用リストストラップ
リストストラップ システム試験 |効果
リストストラップは消耗品で、各構成部分は経時変化するものです。そのため、使用に際しては、定期的に各部品を検査する必要があります(たとえば、皮膚接触の損傷とコード損傷、接続損傷などについて、定期的にデータをとります。通常、このようなデータは、信頼性検査などでも使用します)。
この検査方法は、一般には、各構成部分の電気特性の検査(部品検査)で行ってきましたが、最近の研究では、リストストラップの評価を人体接地経路システムの一部として評価(システム検査)を行うべきだとされてきています。つまり、各構成部分の評価の他に実際にリストストラップを装着した状態で、システムを評価します。
これは、リストストラップを接地経路として使用する場合、経路上には人体の皮膚があるため、個人差が出やすいためです。もちろん、不適切な使用や洗浄の不備などによる影響も同時に評価できるという利点もあります。
部品検査の標準ANSI EOS/ESD S1.1-1998ではリストストラップの試験方法に関して、①評価試験、②承認試験、③機能試験というかたちで表1のように述べられています。
システム試験を行うために、リストストラップチェッカーという検査装置が販売されています。その中には、ワイヤ単体でも試験できる能力を持つものもあります。このチェッカーは、手首バンド、接地コード、手首バッドと着用者間接続の電気的接続などのリストストラップ特性を評価するために、比較的古くから使用されていたものです。
このチェッカーは、正しく使用すれば、試験時に、リストストラップの接続、あるいはシステム部品の欠損を発見することができますが、作業者が、試験中に人為的に腕まで手首バンドを持ち上げたり、手首バンドを強くひっぱったりすると、誤った結果を表示してしまいます。
つまり、リストストラップを検査している間は、ワイヤなどにもストレスを加えずに作業環境で行います。また、リストストラップシステムが、このような定期検査の間に壊れていた場合には、未接続、あるいは不適切に接地した作業者による、製品への人体帯電暴露を発生する可能性があります。
ところで、チェッカーを使用する理由は、実はこれだけではないのです。チェッカーは、システムとしてのリストストラップを検査します。つまり、この検査は、リストストラップの完全性だけではなく、接地接続の完全性も同時に検査することになるのです。
実際、リストストラップシステムの問題で、接地接続の断線や不具合は、比較的多く発生しています。これは、リストストラップの検査は定期的に行うのに対して、接地の検査は、それほど多くの頻度で行わないために、新しい設備などを導入した場合、誤って接続を切断したりバイパスしても、比較的長い間、気がつかないことが多いからです。
では、このような検査は、どのくらいの頻度で行うべきなのでしょうか?さまざまな標準で、この検査の頻度を規定していますが、一般的には、リストストラップの検査は、毎日行います。しかし、中には、毎日でも不十分な場合があります。このような場合には、モニターシステムを使用する必要が出てきます。
表1 リストストラップの試験方法
|
|
①評価試験 | |
電気的試験 | |
リストストラップ抵抗 | IMΩ土20%、もしくはューザ規定値 |
カフ抵抗 内部 | ≦100kΩもしくはューザ規定値≧10MΩ |
機械的試験 | |
カフ寸法 | 手よりも広がり、手首にぴつたりフィットするよう縮むこと |
取り外し力 | | >1 lb、く5lb(ポンド) |
コネクタとコードの全体性 | >5lbS >コードの強さの66% |
接地線増量性 | 製造者の決めた長さ |
屈曲寿命 | | ≧16000回転 |
マーク | |
製造者の識別番号 | 商標もしくは名前 |
抵抗値の非標準の識別 | 赤く数値がついていること |
②承認試験 | |
電気的試験 | |
リストストラップ抵抗 | 1MΩ土20%もしくはューザ規定値 |
マーク | |
製造者の識別番号 | 商標もしくは名前 |
抵抗値の非標準の識別 | 赤く数値がついていること |
③機能試験(ューザ試験) | |
電気的試験 | |
リストストラップ抵抗 | パスもしくは10MΩ、もしくはユーザ規定値 |
リストストラップチェッカーを選択する場合には、ユーザ要求とチェッカーの上限/下限抵抗が一致しているかを確認するために、取扱い説明書を調査する必要があります。
リストストラップチェカー選び方 メーカー比較
HOZAN(ホーザン) リストストラップチェッカー F-206
リストストラップのチェッカー
午前・午後の始業点検には欠かせないチェッカーです。
RCJS規格で規定された棒電極(φ25×150mm)仕様。
規格に沿った合否判定が簡単・正確に出来ます。
■ オートパワーオフ機能付き
■ 電極コード長さ:0.5m
■ ワニグチ変換用バナナプラグ 付
エスコ リストストラップ用通電チェッカー (EA710R-3)
リストストラップモニター
リストストラップの接地状態を継続的に直接監視することで、静電気対策に信頼性の高い作業環境を提供します。以前の方法は作業者が使用前にリストストラップをテスト後、作業を開始します。
しかしリストストラップに断線が発覚した場合に試験後~断線発覚までの間、作業者が触れた製品の品質は確保できません。常時監視することにより断線直後にアラームとライトで作業者に警告する。即座の対応により、製品の品質確認の手間を大幅に削減し、品質の安定を実現します。
リストストラップモニターは、軍事あるいは医療機器などの高付加価値、ハイリスク作業でのリストストラップと着用者の電気的な特性を、常時評価する方法として開発されたものです。機構的には3種類のタイプがあります。
コードが単一のもの(キャパシタンス・インピーダンス)
外見上は、通常のリストストラップと変わりません。このタイプのものは、電気的な連続性を、人体のインピーダンス、あるいは、キャパシタンス測定で評価しています。キャパシタンスモニターでは、単一接地コードを通して、リストストラップにAC電圧を印加します。
交流では、キャパシタや容量ネットワークは抵抗として働くので、単一コードのリストストラップモニターは、リストストラップ着用者の見かけの抵抗を見積もることができます。つまり、作業者から接地への容量結合のため、モニターは、初期設定の許容範囲、あるいは、手動による調節により、リストストラップが良いか悪いかを示すことができるのです。ただし、カフ部と皮膚の接点の抵抗は、直接測定できません。
コードが2本のもの(抵抗)
これは、カフ部で絶縁領域を設けその両側に1本ずつリードを接続して、その間の抵抗を常時測定しているものです。このようなモニターシステムには、イベットレコーダに接続したり、制御用コンピュータに接続することにより常時、作業者の作業工程をモニターすることができるものもあります。この抵抗連続モニターを使用する信号には、定常状態DCとパルスDCの2つのタイプがあります。また、あるシステムでは、作業場所内でのツール、備品、作業表面等の接地接続をモニターする能力もあります。
コードが2本のもの(電圧)
作業者が、リストストラップを適切に着用した場合には、モニターは、手首バッド上(2つの二芯導線手首バンド)の電圧を測定します。電圧が、ユーザーの設定した限界以上に上昇すると、モニターは警告を発します。リストストラップシステムが開いてしまうと、電圧感知回路が適切に機能しなくなるので、モニターは一般的に、リストストラップシステムの連続性を確認するための電圧感知回路が、同時に働くような分離抵抗モニター回路を備えています。この場合、抵抗がある値に達すると回路は警告段階に入ります。
おすすめ品:リストストラップモニター
リストストラップの接地経路や1MΩという低い範囲における抵抗の検出をより安定して(パルス状や断続的なものと比較)常時監視します。
作業者のリストストラップコードやモニターのジャックに差し込まれたバナナプラグが不意に抜けてしまった時にアラームが鳴ります。
ESD作業台表面がない場所で使用する際は作業台表面モニター回路を無効にすることができます。
アラームの音量を若干変更することができます。
多機能型モニターに接続し、アラームのお知らせが作業者の視界に入る場所に置きます。
*静電気除去グッツについては下記のサイトに更に詳細な内容が記載されています。
関連記事:静電気対策グッズ、用品の選び方、使い方
*さらに詳しい内容は下記の文献を参考に願します。
参考文献:
静電気の基礎と帯電防止技術 著者:村田雄司 日刊工業新聞社
たのしい静電気 著者:高柳 真
静電気トラブル Q&A 監修:田畠泰幸
図解 静電気管理入門 著者:二澤 正行 工業調査会
静電気がわかる本―原理から障害防止ノウハウまで 高橋 雄造 (著)
電気機器の静電気対策 (設計技術シリーズ) 水野 彰 (監修)
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