- 電極針とは? electrode needle 【図解】
電極針とは? electrode needle 【図解】
英語:electrode needle 中国語:电极针
除電器(イオナイザ)がプラスイオンとマイナスイオンを生成するとき、イオン生成の元となる「電子」を電極針の先端で、プラスイオンの場合は「吸収」、マイナスイオンの場合は「放出」し、物質が静電気を帯びた(帯電)した状態から「バランスが良い状態」つまり「電気的に中性な状態」にします。
この時に吸収・放出の物理的な衝突エネルギーによって、電極針の先端は使用とともに徐々に摩耗し丸くなっていきます。
電極針の清掃方法は?
電極針は放電等により空気中の汚れの吸着や付着により白い粉のようなものが付着します。 電極針のついた基盤や、電極カートリッジを外して針本体をアルコールを浸した綿棒やウエスで拭き掃除を行います。
コロナ放電式イオナイザーの放電電極には、印加電源方式の違いにかかわらず、約7kVから十数kVの高電圧が印加されているので、電極先端には強い電界が発生しています。この電界の影響により、空中に浮遊する塵埃が、電極方向に吸引され付着堆積します。
一般環境での作業場で使用されるイオナイザーでは、電極に黒い付着物や繊維状の物質が付着堆積することがあります。黒い付着物は、外気から室内に混人した白動車などの排気ガスに由来する炭素系粒子の付着と思われ、繊維状の付着物は、作業者の衣服などの繊維と推察されます。
また、クリーンルーム内のような高清浄空間においても、放電電極への付着物の析出、堆積が見られます。一例として、クリーンルーム内で使用したイオナイザーの場合には、白色の異物が電極先端へ付着することが多く観察されます。
この物質の元素分析を行った結果では、主成分がS102(シリカ)であったと報告されています。これは、基板処理工程で使用される薬液などのガス化した分子や、クリーンルームに使用されるシリコンコーキング材料(目地止め材料)などからのアウトガスのイオナイザーの電界によりガスー粒子変換したものが主な原因と見られ報告されています。
また、他の報告では、電極先端に析出した異物が、亜硝酸アンモニウムであったとの報告もあり、イオナイザーの使用される環境内での薬液から排出されたガス分子に、大きく影響されているものと思われます。
このような事例の通り、一般環境内の作業場や、高清浄なクリーンルーム環境内作業場でも、現在のところ、残念ながらイオナイザーの電極が外気に露出していれば、イオナイザー電極の高電界の影響により、放電電極に異物が付着、もしくは析出し表面に堆積します。
このような、浮遊塵埃やガスー粒子変換による発生微粒子が電極に付着すると、コロナ放電電極でのイオン化が妨げられ、発生イオン量の低下とともに、正負極のイオンバランスの崩れが生じてしまうことが問題となります。
このため、電極の定期的な清掃を確実に行い、電極表面の付着物を取り除いておくことは、イオナイザーを使用する上で、最も重要な管理事項となります。イオナイザーの放電電極を清掃する頻度と、清掃に必要な労力、時間、費用は、イオナイザーとその使用条件、環境条件により異なります。
堆積する異物の量と、イオン発生量およびイオンバランスヘの影響の程度については、個々のイオナイザーの条件が異なるために、定量的に判断することはむずかしいと考えられます。1~2ヵ月に1回の清掃頻度が一般的です。
電極針の寿命
イオナイザーに装備されているコロナ放電電極は、正イオンを生成する時に放出される電子が、正電極に衝突して電極材の原子を弾き飛ばす現象により、摩耗することが報告されています。
電極先端部の形状が変化することにより、正負イオンの生成効率に影響を与えて、イオンバランスが微妙に変化して行きます。このようなイオンバランスの変化に対して、多くのイオナイザーには、イオンバランスを補正する機能が装備されており、調整することが可能ですが、交流型や直流型のイオナイザーのー部には、このようなイオンバランスを補正する機能が付属していない場合もあります。
このため、長期間使用した場合には、イオナイザーの電極を交換する必要がでてきます。イオナイザーの電極の装着方法は、ソケット差込型や溶接などメーカーによりさまざまであるので、購入を検討する場合には、電極交換に関する技術的なアドバイスを受けてべきです。
材質 | 寿命 | 特長 |
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タングステン | 約2年 | 最も一般的に使用されている材質で長寿命 |
シリコン | 約2年 | 金属汚染を嫌う環境で使用されている材質 |
SUS | 約1年 | 安価ではあるが他の材質と比べると短寿命 |
*電極針の詳細は下記の記事を参照願いします。
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