静電気障害

静電気障害の概要【図解】

静電気障害  Electrostatic Disorder  【図解】

英語:Electrostatic Disorder  中国語:静电障碍

静電気は人間に電気ショックの痛みを感じさせるだけではなく,工場等において火災、爆発等の災害や障害も発生させています。

静電気によって引き起こされる障害及び災害の概要を説明すると

災・爆発があります。

静電気放電による火災・爆発は可燃性雰囲気の中で,燃える物質の着火エネルギーを超える静電気放電が与えられた場合に発生します。

例えば,プロパンガスや水素が漏れている箇所やガソリンタンクの口が開き,ガソリン蒸気が充満している箇所でその着火エネルギーを超える静電気放電が起こると,これが点火源となって,爆発や火災といった災害が発生します。

②静電気放電の人体への影響として電撃があります。

火花放電が人体を通して起こると,人体に大電流が流れて細胞が刺激され電撃が起こります。電流値が大きいほど激しいショックを感じることになります。静電気による電撃は瞬間的であるので人命にかかわるほどのことはありませんが,そのショックで転倒,墜落などの二次災害が発生する可能性があります。

③電子機器の損傷や誤動作があります。

最近の IC などの半導体素子は,小型化,高集積化しており,配線間の距離が短くなっています。特に, MOS 型 IC などは,ゲート酸化膜にごく薄い二酸化シリコン等を使用しており,これが静電気放電によって壊れ,その結果,コンピューターの誤動作や,産業用ロボットの暴走など,社会的に影響の大きい災害に発展する恐れがあります。

電子機器の損傷や誤動作

④静電気放電現象による痕跡が製品の品質不良を起こす場合があります。

たとえば,塗装や印刷の仕上がり不良,写真フィルムの感光など,いろいろな場面で障害が現れます。また,静電気の力学現象で現れる障害として,粉体による目詰まりや汚れの付着などが実際の現場においては大きな問題になっています。

静電気が発生するために起こる障害は,ほとんどあらゆる業種に及ぶと考えてよいく、静電気障害の内容としては,生産工程で生産能率を低下させ,あるいは製品の歩留まりを悪くするような障害,出荷後の製品の取り扱い上の制約を厳しくするような障害,またオフィスや作業現場で機器の誤動作や規模の大きい危険性を生む障害などがあげられる。

産業の内容別に静電気障害の例を表4.1に示す。

表4.1 産業別静電気障害の例
産業分野帯電障害の例
高分子繊維原糸のより合わせ不良,糸のからみ糸の切断
フィルムほこりの付着,ローラヘの巻き付き静電気放電(着火源,感電,ピンホール形成)
その他ほこりの付着,製品どうしの付着・反発装置への付着
粉 体粉体凝集,飛び散り,ふるい分け不良静電気放電(粉塵爆発,感電)
流送パイプほこりの付着,静電気放電(着火源,感電)
紙・印刷インクの飛び散りなどの印刷不良紙の密着,裏写り
石 油石油タンク充填中の爆発,タンク油量測定中の爆発
輸送パイプパイプ外面の静電気放電
その他タンク洗浄中の爆発(水の帯電)
半導体パッケージ,内部回路回路の破壊,特性劣化,歩留まり低下
装置類,梱包材,作業者出荷後の不良
液 晶ガラスパネル,作業者装置類トランジスタの破壊,製造中のガラスの破壊
電子機器絶縁材料,作業者,その他回路・デバイスの破壊,回路の誤動作コンピュータの動作停止,ロボットの誤動作
医 療着衣,その他酸素タンク内の着火・爆発,麻酔ガスの着火
オフィス着衣,人体,その他コンピュータ誤動作,コピー用紙のブロッキング感電,ほこりの付着
その他絶縁体,導体,人体静電気放電による通信障害,ヘリコプター接触時の感電,原子炉の窓の破壊変圧器の油の帯電による絶縁破壊、自動車乗降時の感電

*詳細は下記の記事を参照願います。

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