わかりやすい 現場実践 静電気除去 マニュアル

スポンサーリンク

『静電気基礎知識』

「静電気って、何?」| 静電気除去?

子供の頃に下敷きをこすって、前に座っている友だちの髪の毛を逆立てたことがあるでしょう。 そのとき下敷きはどんな材料でできていたか…

そう、たしかプラスチックでした。
セーターの脇に下敷きを挟んで、 何度も何度もこすったものです。
プラスチックという素材は、その ほとんどが電気を通さない、ほぼ完全な絶縁体です。
一度発生した電気は絶縁体の表面で行き場がないので、そこに長く 溜まっています。

これが帯電、静電気の正体です。

 帯電とは? | 除電とは?

静電気をなかなか逃がすことができないプラスチックは、帯電しやすい物質です。 世の中には、電気をよく通す物質と通しにくい物質があります。 一般に金属は導体、プラスチックは絶縁体と呼ばれます。その中間が半導体です。

導体、半導体、絶縁体の定義を下記に記載します。導体:電圧を印圧したときに電流が流れやすい物質。金属はすべて導体、抵抗率は10-8Ω程度。

絶縁体:電圧を印圧したときに電流が流れにくい物質。抵抗率は10MΩ程度以上

半導体:導体と絶縁体の中間の抵抗率を有する物質。抵抗率の範囲は~10KΩ程度。

静電気の大きさを表す単位は、V(ボルト)やkV(キロボルト)、電圧の単位と同じです。 ところが、金属にも静電気が発生するのです。金属の一部がアースにつながっている場合は、自由に電荷が移動できるので、帯電は起こりません。つまり、導体の電位は常に同電位(0V)に保たれています。しかし、絶縁物の上に置いた状態であれば、話は変わってきます。 プラスチックと同様に静電気を溜め込んでいきます。

電気抵抗が高い場合に、電気が自由に移動できないから、静電気は発生します。 静電気を考えるうえでは、この抵抗の大小が問題になってくるのです。

 静電気、こうやって生まれる | 静電気 原理

このように、導体、半導体、絶縁体いずれにも静電気は発生します。 空気も帯電することが知られています。物質が強く帯電すると、 パシッという音や青白い光を伴う静電気放電が起こります。

この現象が、電子機器の誤作動や爆発災害など、重大な事故を 引き起こすこともあります。 帯電の仕方は、物質によって違います。 そして、その原因もまちまちです。

静電気の発生と帯電は深いつながりがあるのがわかっています。もう一度、下敷きのイタズラを思い出してみましょう。

下敷きを何度も一生懸命こすりましたね。こすったから静電気が発生 したような気がしました。だけど、実際は下敷きがセーターに接触した 瞬間に、静電気は発生します(接触帯電)。ただ、 触れただけで発生 する静電気は、とてもわずかです。

そこで、下敷きとセーターをこすり合わせます(摩擦帯電)。 そうすると、単に接触している場合と比べて、その面積が大きくなります。下敷きをこすれば こするだけ、静電気を溜め込んでいきます。

買ったばかりの携帯電話の液晶画面 に付いているフィルムをはがすときだって、静電気は 発生します(はく離帯電)。また、配管の中を圧送される粉体などにも、静電気が発生(衝突帯電) することが知られています。

 原子の世界の電子の移動

静電気が発生する原因をまとめると次のようになります。

・接触帯電…2つの物質が接触したとき

・摩擦帯電…物質同士をすり合わせたとき

・はく離帯電…接触したモノをはがしたとき

・衝突帯電…物質と物質がぶつかったとき

たとえば、空気も静電気を発生させます。パイプやホースの中を、気体や液体が勢いよく流れた 場合などです。この他に、イオンが物体表面に付着しても帯電します。 複写機は、このイオンの帯電付着の作用を利用しています。

静電気発生のメカニズムを詳しく理解するためには、ミクロの単位よりもっと微少な目が必要です。 すべての物質は、原子と原子の組合せです。その原子には、-極の電子と+極の陽子で構成された 原子核が含まれます。

通常は、-極の電子と+極の陽子の数が同じで、電気的に中性の安定状態になっています。 物質同士が接触すると、それぞれの原子核にある電子が移動を始めます。2つの物質が触れ合うと、片方の物質に飛び込み、-極に帯電します。これが静電気の発生です。

ミクロの目で見ると、原子核が原子を放り出したり、受け取ったりしています。 この+-は、発生条件や環境によって左右されるので、絶対的な定義はありません。

物質が+-どちらの静電気を発生するかについては図表-1のような 目安があります。2つの物質が接触したときは、上位にある物質が+ 極になります(表では左側が上位)。帯電量は、帯電列表の位置関係が 遠い物質ほど、大きくなる傾向があります。

たとえば、紙とガラス板をくっつけるとガラス板は図表-1の上位にあるので+極に、紙は下位なので -極に帯電します。 また,紙とテフロン板をくっつけると,今度は紙が上位になるので+極に,テフロン板が-極に帯電 します。このように、静電気の極性は2つの物質の関係で決まります。

 

見過ごせない静電気のイタズラ

図表-2を見ると「チクリとした痛みを感じる」レベルで帯電電位は 3kVです。 暗闇で青白い光が見える状態だと、10kV以上になります。

静電気は、ふだんもさまざまな場面で発生していますが、1kV以下 だとほとんど感じません。この1kVに満たないような静電気が、製造 現場では問題になります。 作業者がまったく感じることがなくても、 不良品や工程トラブルの誘因となっているから見逃せません。

静電気が影響して起こる不具合は、パーツフィーダーの詰まり、 検査機や測定器の誤作動、印字ミス、塗装ムラ、シートやガラス面・ 樹脂面へのホコリや切粉の付着、液晶基盤や電子部品の静電破壊… など、ここにあげきれないほど多種多様なカタチで現れます。

また、高精度・高品質の製品をつくり出すために、次のような厳しい 静電気量の基準を設けている製品もあるようです。

・MOS型IC:80V以下

・CMOS型IC:200V以下

・サイリスタ:600V以下

[kV]

電撃の強さ

 静電気のクーロン力

静電気のために実際の製造現場で発生しているトラブルについて、原因など をより深く説明しましょう。原因を理解することで、静電気に対する見方も きっと変わってくるはずです。

その理解を進める第一歩として、トラブルの大きな要因となっている「クーロン力」を説明します。静電気の極性に+極と-極の2種類がある ことは、すでに説明しました。

クーロン力というのは、静電気を帯びているもの同士が、磁石のS極とN極 のように、同一の極性同士なら反発し合い、異なる極性なら引き合う力の ことです。このクーロン力は、静電気を帯びているものには必ず働く力で、 そのためにトラブルの要因になることが多いのです。

お湯を注ぐ前のカップラーメンを見ると、粉末スープが容器の内側に付着していたりします。 同じように、クーロン力によって異なる極性が引き合う現象が製造現場で起こると、さまざまな 問題が発生します。 また、帯電物同士が同じ極性に帯電していると、今度は反発し合う力が働きます。 N極の磁石の上にN極の磁石を重ねようとしたときのように、決まった位 置にうまくモノを持って いけなかったり、横のモノを跳ね飛ばしたりします。それが欠品につながったり、 搬送ミスになったりします。

ビンなどに髪の毛などが付着 板ガラスやフィルムなどがくっ付く場合も静電気が原因ですクーロン力のせいです

ゴミの付着もトラブルのもと

空中に漂っているゴミも、実はトラブルの大きな原因になっています。ゴミやホコリはほとんどが+か-いずれかの静電気を帯びています。

そのため、+に帯電しているゴミやホコリは、-に帯電しているモノに引き付けられます。

大気中には、+や-に帯電しているゴミやホコリが無数にあるため、帯電したあらゆる物質にくっ付いてしまいます。

塗装、蒸着、ノリの塗布などを必要とするモノの場合、表面に付着したゴミの部分が盛り上がり、ムラになったりして現れます。また、ホコリやゴミ付着が外観不良につながったり、髪の毛などの異物混入がユーザーのクレームとなるケースもあります。

ホコリやゴミが製品に付着したままローラーにホコリなどが付着すると、さまざまな    塗装すると、その個所がムラになったり    、不良を引き起こします    はがれたりします



  金属と静電気

金属のような導体でもクーロン力は発します。 ちょうどノコギリの刃に切り粉が付くような現象です。これは、金属をアースに落として0Vを保ち続けたとしても起こるのです。金属に絶縁体が付着するために発生するトラブルについて説明します。

その典型的な例は、パーツフィーダーの詰まり、プレスの型残り、ノコギリの切粉付着があります。

これらのトラブルも、実はクーロン力によって発生するのです。

ここでは、パーツフィーダの詰まりというトラブルを例にとってみましょう。まず、パーツとボウルの間でクーロン力が働きます。そして、パーツがボウルに引っ付き、出されているパーツの流れを止めてしまうために起こります。

高速道路の真ん中に故障車が止まり、大渋滞を引き起こすようなものです。この原因を理解するためには、静電誘導という現象も合わせて説明する必要があります。


パーツフィーダーの詰まり、成形品の排出ミスや型残り、又切削加工の際、ノコギリの歯に切粉が付着するのも、実は静電気が深く関係しております。

静電誘導がクーロン力を後押し!?

静電誘導とは帯電物が金属体に近づいた場合、金属体の表面にその帯電物を導く作用のことです。

帯電している物体の近くに導体を近づけると、帯電物と向かい合った面に帯電物と反対極性の電荷が集まります。

この静電誘導により、帯電物とOVであるはずの金属体との間に、引き合う力が生まれて付着することになるのです。導体の周囲が+に帯電していれば、導体の帯電物側の面に-の電荷が集まって引き合う力を生じさせます。帯電物の帯電量が大きければ大きいほど、また帯電物と導体の間が短ければ短いほど、より強い力が働きます。

静電誘導とは、ある帯電物が金属に近づくことで、金属表面に反対極性の電荷を集めることです



知らないうちに部品を破壊

「静電破壊」は静電気放電が引き起こすトラブルの一種です。

ICは絶縁性の高い酸化シリコンなどの薄い膜に覆われていています。ところが、静電気の放電によって、一時的に高い電圧の電気が流れると、酸化シリコンの絶縁層が破られ、回路に傷がこれが静電破壊という現象です。

破壊というと、見た目で壊れてしまった気がしますが、実際は0.1mmにも満たない小さな回路が動かなくなったり、機能が低下したりする現象です。外見ではまったくわかりません。

MOS型半導体は、約80~100Vの電圧がかかるだけで、半導体としての機能を失ってしまいます。人がチクリと痛みを感じる程度でおよそ3kVの電圧なので、約80~100Vという数値が、いかに小さなものであるかが想像できるでしょう。



いろんなモノが帯電している!

静電破壊を引き起こす静電気放電を防ぐには、モノを帯電させなければ よいのです。しかし、コトはそれほど簡単ではありません。静電気は モノとモノが触れただけでも起こります。たとえば、私たちがイスから 立ち上がったり、歩き回ったりというように、普通の動作をするだけ でも静電気は発生します。

 

実は、静電破壊の原因となる帯電体で、真っ先に疑われるのは、私たち 自身です。人は動き回って作業をするので帯電しやすく、その電位は簡単に 数千~10000V以上になります。そして、帯電した作業者が基板を組み立てる とき、静電気に敏感なICに手を近づけると、放電が起きてしまいます。

しかも、悪いことに、作業者はそのことにまったく気づかず、外見からも 壊れたことがわからないため、後になって原因不明の不良で悩むことになる のです。その他、金属でできている装置類もアースされていない場合は帯電 します。半導体自体も製造過程で帯電すれば、作業の際に使用するピンセット などの導体が近づくことで放電し、内部回路が破壊される危険があります。

電気抵抗が1MΩ以下なら大丈夫

アースは漏電による感電を防ぐため、家庭の電化製品でも行われている ポピュラーな方法です。地球が大きな導体で、しかも大地の表面がゼロ 電位であることを利用して、たまった電気を文字どおり地球(earth)へ 逃がします。電気を地面(=地球)に逃がすことから、接地または グランドとも呼ばれています。

 

製造現場で利用されているアースは、漏電による感電防止だけでなく、 静電気放電による火災・爆発事故などを防止する役割も果たしています。

アースの使用方法は、電化製品の場合と同じです。特別な工夫は必要なく、 アースの電気抵抗値が1MΩ以下であればよいとされています。

ちなみに電化製品の場合は、静電気に比べて極端に大きな電気エネルギーが 流れるので、アースの電気抵抗値は100Ω以下という非常に抵抗の少ないもの が使われ、電気を逃がしやすいようにしています。

「アースは万能!」は大まちがい

ガラスやプラスチックなどの絶縁体は、アースをしても除電されることはありません。 アースをした導体に絶縁体が接していると、絶縁体の静電気が消えたように見えることがあります。 実際、この状態で絶縁体の電位を測ると、電位は低くなっています。 アースをすれば絶縁体でも除電できるとよく誤解されるのはこのためです。

なぜ静電気がなくなったように見えるのでしょう? アースをした金属は、自由に電荷の移動ができる状態にあります。そこに帯電した絶縁体が接する と、導体の表面には絶縁体が帯電している電荷と反対極性の電荷が引き寄せられます。

つまり、アースした導体と接している面では、プラスとマイナスが中和した状態になり、見かけ上 は静電気がなくなったように見えるのです。しかし、当然ながら、絶縁体の電荷は移動してい ません。 導体から引き離すと、消えたように見えた静電気はそのまま残っていることがわかります。

このようにアースが有効かどうかは、帯電しているモノが導体か絶縁体かでまったく違います。 導体に対しては有効なアースも、絶縁体にはまったく効果がないということを頭に入れて、静電気 対策を行いましょう。


絶縁体の静電気が消えたように見えるメカニズム

参考サイト:キーエンス(株)静電気ドクター

上記サイトではさらに詳しい資料が掲載されています。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

==========================================

閲覧、有難うございます。クレインテクノの門眞と申します。
現在、仙台市を拠点に中小企業の工場を対象として品質改善&設備改善のコンサルをしています。
又、液晶工場で学んだ知識およびノウハウを活用して静電気対策およびゴミ対策のコンサルの支援もしております。静電気でお困りの方は遠慮なく、『問い合わせ』のボタンから連絡してください。下記の会社のサイトをクリックしてください。

クレインテクノ コンサルティング