- 電界とは? electric field 【図解】
- 電界の測定、計測 | 回転セクター型電界計
電界とは? electric field 【図解】
英語:electric field 中国語:电场
電界又は電場は、電荷に力を及ぼす空間の性質の一つ。
理学系では「電場」、工学系では「電界」ということが多い。また、電束密度と明確に区別するために「電場の強さ」ともいう。時間によって変化しない電場を静電場または静電界とよぶ。
電界と電気力線,平等電界と不平等電界
帯電した物体があったり,電極に電圧を印加すると,まわりの空間に電界ができる。電界とは一種の緊張状態のようなものである。電界は,均一な平等電界と,小均一な不平等電界に大別される。
図1.2(a)に示した平行平板間の電界は平等であり,(b)に示した針一平板や球-平板間の電界は不平等である。図中の破線を電気力線という。電位(電圧)の高いところを山,低いところを海と考えて,山のてっぺんから水を流したとすると,電気力線は水が流れる道のようなものである。不平等電界では,山が尖っているようなものであるから,水の流れる道は山を下りるにつれてまばらになる。
電界の強い方へ向く力
平等電界であり,しかも電気力線で示した電界が完全に対称であると,その電界の中の物体に力ははたらかない。図1.3(a)の場合がこれである。不平等電界中の物体には,(d)のように力が働く。力の向きは,大気中の固体や液滴,油中の固体や水滴であると,電界の強い方へ向く。尖った形の電極へ向かって,電極の極性のいかんを問わず,動かされるのである。
(b)と(c)では,もとは電界が平等であっても,物体が入った(中央ではなくどちらかにずれたり,物体が対称形でなかったり)ので,対称であった電界が乱れて,少々不平等になる。この不平等性が力のもとになる。(a)の場合でも,左向きの力と右向きの力が平衡していて動かないのであるから,物体がゆれたりわずかな変化があると,バランスが破れて物体はどちらかの電極へ引き寄せられる。
電界の測定、計測 | 回転セクター型電界計
電界の中に導体が置かれると,その表面には
σ=εo× E
の電荷が誘導され,その結果導体の電位が変化する。そのため,導体電位から電界を計測することができる。したがって,誘導電極での測定で測定器を電位の代わりに電界目盛りにすれば,電界を測定することができる。
導体の前面に接地した導体の羽根を設け,これを回転させると,導体に入る電気力線はこの回転する羽根によって周期的に切断され,導体表面の誘導電荷も周期的に現れるようになる。これも振動電極型と同様な交流出力が得られる測定装置であって,安定な測定ができる(図6)。
この装置は回転セクター型(セクターとは扇状の形を言い,回転する羽根の1枚1枚がこの形をしているためにこのように呼ばれる。 field mill ともいう)と呼ばれ,ビルの屋上に空に向けて設置し,雷雲の接近を観測するために使われていた。雷雲が接近すると地表近くでも電界強度が高くなるからである。
帯電体によって作られる電界は帯電体の電荷量,あるいは電位によって決まるから,この測定器は帯電体の表面電荷密度や電位を測定するためにも使われる。昔は表面電位計はほとんどこのタイプであったが,モータで羽根を回転させるので大型になるため,最近ではほとんどが振動電極式に代わられてしまった。
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