静電気トラブル Q&A

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静電気トラブルのABC ①

質問:

静電気と普通の電気の違いはどこにありますか?また、測定上注意すべき点はどこですか?

回答:

静電気が一般の電気と違うところは電流が非常に小さいということです。たとえば、対象とする電流値は、一般の電気がA(アンペア)のオーダーであるのに対して、静電気ではpA~μA(10-12~10-6アンペア)のオーダーです。電流は、電荷の移動速度に関係した量ですから、電流が小さいということは電荷がほとんど動かないことを意味します。

これが、ほとんど移動しない「静電気」と呼ばれる所以です。また、電荷が移動せずに蓄積されると、結果的に高い電位となります。プラスチックス等の絶縁物や非接地状態の導体などに電荷が蓄積した場合に、このような状態が生じます。静電気の測定にあたっては、蓄積された電荷を逃がさない工夫が必要です。すなわち、電圧計には、入力インピーダンスが十分大きなもの(たとえばエレクトロメーター)を使います。リード線にはポリエチレンやシリコンゴムのように絶縁性の高い被覆を有するものを使用して電荷の漏洩を防がなければなりません。また、電位が高い場合には、放電が起きないような工夫が必要です。

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静電気トラブルのABC ②

質問:

ガスや蒸気のような気体は帯電するのでしょうか?

回答:

ガスや蒸気のような気体は純粋に気体で取り扱う限り帯電しません。しかし、粉体と一緒に取り扱ったり、錆やゴミなどの固形物が混じると、このような固形物が帯電し放電を引き起こす危険があります。

過去に配管が破裂して水素やメタンが漏れだして火災となった例では、ガスに含まれていた鉄錆等の不純物の帯電が着火の原因と考えられています。また、プロパン等の液化ガスは、液体または気体と液体の混合状態で噴出させると大きく帯電することがわかっていますので、取り扱う時には、帯電の危険を把握しておくことが重要です。たとえば図のように容器を絶縁状態にし、かつ液体または気液混合状態で噴出させると非常に危険です。

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静電気トラブルのABC ③

質問:

静電誘導とは何ですか?また、静電誘導による災障害を防止するにはどうしたらよいですか?

回答:

静電誘導は図に示すように帯電物体の付近に大地から絶縁された人体や金属製工具等の導電性の物体が接近したときに、その導電性物体の電位が上昇し、かつ、内部で正(十)負(-)の電荷の電離が生じる現象です。
このような状態になると、正負どちらか一方の電気を帯びて帯電した物体とまったく同様に、これから火花放電などのエネルギーの大きな放電を発生しますので非常に危険です。静電誘導は、電気抵抗が小さい接地されていない物体に起こる特有な現象ですから、その物体を接地することによって完全に防止することができます。

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静電気トラブルのABC ④

質問:

帯電物体の電位を測定したとき、測定器によって測定値が異なることがありますが、正しい測定をするにはどうすればよいですか?

回答:

帯電電位の測定値が測定器によって異なることは測定器による測定原理や測定方法などの相違からやむを得ない面がある。また、測定をすることによって帯電物体の電位そのものが変化することもあり正しい絶対値を測定することは一般に困難である。

したがって、正しい電位を測定することも重要であるが、障災害の防止を目的にした測定にあたって最も留意すべきことは、使用した測定器の型式、測定対象とその大きさ・形状、測定者なども記録し、測定値は相対値であっても、その比較、検討ができるように、測定結果だけではなく測定条件も明記しておくことが必須である。

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静電気トラブルのABC ⑤

質問:

静電気対策を効果的に実施するには、事前の安全診断として何をチェックすればよいですか?

回答:

静電気は目で見ることも耳で聞くこともできません。
対策を実施する事前の安全診断にあたっては、最小限度、人間の感覚では捕らえることのできない静電気を測定するための専用の電位計が必要です。
これを用いて材料、製品等が帯電するかどうか、工程のどこで帯電するか、また、大きな帯電であるかどうかを測定し、診断します。
対策の目的にもよりますが、一般的には電位が数kv以上であると対策が必要です。また、事前に乾燥した合成繊維の布等で摩擦し、数kv以上の帯電になるようであれば、対策が必要です。

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静電気トラブルのABC ⑥

質問:

フィルム・紙などのシート状帯電物体の危険な帯電は、電位(電圧)でどの程度ですか?

回答:

絶縁性のシート状帯電物体から放電が発生して災害、障害が発生する実際の電位は、数10kvという比較的高い電位です。しかし、災害・障害が発生していない通常の稼働状態で危険な帯電になるかどうかを判断するには危険な電位よりも小さい電位で安全管理をすることが望ましいと言えます。

たとえば、図に示すように、可燃性溶剤等を使用している工程で、爆発・火災については、稼働状態で10kv以上、高集積半導体が使用されている電子システムのトラブルに対しては、5kv以上であると危険な帯電であると判断します。また、通常の稼働状態でトラブルが発生していない時の帯電電位を測定しておき、それを超えていると、危険な帯電になる確率が高いと判断すべきです。

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静電気トラブルのABC ⑦

質問:

接地は静電気対策として有効ですか?また、接地が有効であるのはどのような場合ですか?

回答:

金属および導電性物質でできた材料等に発生した静電気を安全に大地に逃がす手段として接地は大変有効です。
また帯電物体の近傍に接地されていない金属や導電性物質でできた構造物等があるとこの構造物は帯電物体からの誘導によって帯電します。これらの誘導帯電の防止にも接地は大変有効です。

絶縁物は、もともと電気を流さない性質を持っているので絶縁物を接地しても電気が大地に流れず、帯電防止の効果はありません。

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静電気トラブルのABC ⑧

質問:

プラスチックスの薄いフイルム、紙などを切断したり、打ち抜いたりするとき、帯電していろんなものに吸着して離れない場合、どうすればよいのでしょうか?

回答:

プラスチックスフィルム、紙などに質問のような操作を施すと、互いの摩擦、裁断機の刃や、打ち抜きの金型などとの摩擦によりプラスチックスフィルム、紙が摩擦帯電します。帯電したプラスチックス片、紙片は近くにある物体に影像力により付着したり、静電気力により互い
に反発して飛び散ることがあります。

これらの障害を避けるには、フィルム、紙などが帯電しないようにするか、発生した電荷を速やかに逃がすようにすればよいのですが、今の場合前者は難しいでしょう。

プラスチックスフィルムや紙の電荷の散逸を促進するのには作業空間の湿度を高めることが有効です。高湿度の状態ではフィルム、紙などに多量の水分が吸着し吸着水分層を通って電荷の散逸が促進されます。できれば作業空間の相対湿度を65%以上にするとよいといわれています。

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電子機器の静電気対策 ①

質問:

電子ディバイスの破壊を引き起こす静電気はどこで発生するのですか?

回答:

問題となるものは組立工程等での作業者の帯電です、作業者には、特別な対策をしない限り、容易に数kV帯電します。半導体素子は、種類によっては数十Vで破壊 しますから、床の導電化と帯電防止服・靴の着用は勿論、場合によってはリストストラップを付ける等の人体の帯電防止には細心の注意が必要です。

そのほかに、プラスチックスのトレイやパッケージ等の容器類との摩擦によっても帯電しますので、これらを導電性のものにする等の対策が必要です。

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電子機器の静電気対策 ②

質問:

半導体ディバイスの静電気破壊モデルには、どのようなものがありますか?

回答:

バイバイスの静電気破壊モデルを分類すると人体帯電モデル(HBM)マシンモデル(MM)ディバイス帯電モデル(CDM)の3つに大別されます。

人体帯電モデル(HBM)とマシンモデル(MM)は外部帯電物体からデバイスのリードに静電気放電が発生することに起因するモデルで、外部帯電物体が人体の時が人体帯電モデルで、装置の時がマシンモデルになります。

ディバイス帯電モデルは、帯電したパッケージの静電誘導により半導体回路やリードなどの導体部が帯電し、このリードから金属物体に静電気放電が発生することに起因するモデルです。このディバイス帯電による静電気破壊が、ディバイス取扱い工程で多く発生しています。

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電子機器の静電気対策 ③

質問:

静電気が原因と思われますが、コンピュータによる電子システム、自動制御システムが時々誤動作をする場合があります。誤動作を防止するには、システムを接地するだけでよいでしょうか?

回答:

誤動作の原因になる帯電物体には大きく分けて静止した物体移動する物体があります。静止した物体(機械、制御装置等)で、金属であると、それは接地することが基本です。

しかし移動する物体は常時接地することができないため、静電気除電器を設置しなければならないことがあります。また、除電器の設置でなくて水分がほとんど問題にならないシステムであれば、制御システムに、粒径数10μm以下の極く微小な水滴を直接噴霧し、環境の湿度を部分的に高くすることも有効な誤動作防止対策になります。

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電子機器の静電気対策 ④

質問:

電子ディバイスの製造、組立ラインでは作業者の帯電が原因で、しばしば静電気トラブルが発生します。このようなラインの静電気対策は作業者も含めてどうすればよいでしょうか?

回答:

電子産業では作業者の帯電防止が不可欠であり下図のような作業者の帯電防止が必要です。また、作業者からでる塵埃も放置できず、トラブルの原因になるため、作業服は無塵衣で帯電防止性能のあるものを着用しなければなりません。

例えば、帯電性繊維が約10mm程度の間隔で混入されている長繊維の布から縫製された作業服を着用する必要があります。
また、作業者の帯電防止だけではなく、作業者が使用するピンセット、ペンチ、ニッパ、ドライバ等の工具も、半導電性の材料でできたもの、作業台、椅子なども、帯電防止対策が施されているものを使用する必要があります。
なお、作業台の上に、あるいは上方に送風式の静電気除電器を設置し、作業環境の帯電防止を実施することも有効な対策です。ただし、除電器の性能は少なくとも1ヶ月に1度ぐらい除電性能、イオンバランス、電極の汚れ等を点検し、性能が劣化した場合は、専門の技術者に整備を依頼します。

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電子機器の静電気対策 ⑤

質問:

半導体ディバイスを扱う工程の工程管理として、静電気を簡単にチェックするには、どのような方法がありますか?

回答:

半導体ディバイスを扱う工程で静電気の工程管理を簡単に行うチェック方法にはディバイスを例にすると三つの方法があります。

①帯電電位でチェックする方法:

この方法は一般的な方法で、ディバイスの帯電電位を表面電位計で測定してチェックする方法です。
②電荷でチェックする方法:

ディバイスの静電気破壊は、ディバイスの導体部分に帯電した電荷量が静電気放電発生時に急激に流れることにより生じるので、この電荷量を触針型電荷量測定器で測定してチェックする方法です。

③静電気放電でチェックする方法:

ディバイスの静電気破壊が静電気放電に伴って発生することから、これを検出する静電気放電検出器で、工程内の静電気放電の発生有無をチェックする方法です。

最近はディバイスの静電気破壊現象が多様化していますので、上記の三つのチェック方法を併用した工程管理が行われています。

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電子機器の静電気対策 ⑥

質問:

半導体ディバイスを扱う工程では、送風タイプのイオナイザーが多く使用されています。このイオナイザーの使用上の注意点は?

回答:

ディバイスを扱う工程では送風タイプのイオナイザーが多く使用されています。この工程の作業者は、作業中にイオナイザーのイオン風に長時間曝されるため、図Aに示すように送風を弱くしたり(イオナイザー(a))直接イオン風が当たらない(イオナイザー(b))ようにしてイオナイザーを使用しているケースを多く見かけます。

送風タイプのイオナイザーを有効に使用するためには、このイオナイザーの除電性能が送風の強さで大きく異なることに注意が必要です。

図Bは送風タイプのイオナイザーについて、最大風速と最小風速での帯電電位減衰特性を測定した結果ですが、除電距離がd = 300mmと近い距離であっても、最小風速では電位減衰に時間がかなりかかっています。

また、送風方向が悪くても電子部品・ディバイスを除電するのに必要なイオン量が不足し、除電時聞か長くなります。したがって、送風タイプのイオナイザーを使用するには、静電気モニターで除電効果とイオンバランスを定期的に確認しながら、送風の向き、送風の強さの調節をして使用する必要があります。

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電子機器の静電気対策 ⑦

質問:

半導体を扱う作業者の帯電防止対策は?

回答:

半導体を扱う作業者の帯電防止対策としてはリストストラップの使用、クリーンルーム用の静電靴や帯電防止作業服の着用があります。このうちリストストラップと静電靴は作業者に発生した静電気をこれらを通じて大地に逃がすために使用します。

これらは作業者と大地とを電気的に接続する道の役目をするもので、この道が形成されないワイヤレスのリストストラップや非接地でのリストストラップの使用、あるいは静電靴を絶縁性床上で使用した場合は、帯電防止効果が得られません。

したがって、静電靴の使用の際には、必ず導電性床か静電マットを併用する必要があります。また、帯電防止作業服は、作業服に帯電が生じると布地に織り込まれた導電性繊維から発生するコロナ放電により正・負イオンを生成して、このイオンにより作業服を除電して帯電を防止しますので帯電した作業服によって発生するディバイスの静電気破壊防止に有効です。
その他、手袋も導電性手袋を用いた方が、金属製工具等を手袋を介して接地できるので帯電した工具によるディバイスの静電気破壊を防止するのに有効です。

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電子機器の静電気対策 ⑧

質問:

金属製工具を持って静電気に弱い半導体ディバイスを扱うと、静電気破壊が発生します。静電気対策として有効な手袋、工具にはどのようなものがありますか?

回答:

金属製工具で静電気に弱い半導体ディバイスを扱うとき絶縁性手袋を使用していると工具が帯電し、これからデイバイスに静電気放電が発生する危険性があります。また素手で工具を使用したときには帯電したディバイスから工具へ静電気放電が発生する危険性があります。
このようなときは、導電性の手袋や工具を使用することが静電気対策として有効です。これは工具の帯電を防止すると共に、帯電したディバイスを取り扱ったときで導電性の手袋や工具がディバイスにダメージを与えずに静電気を徐々に逃がす働きをするからです。このようにディバイスの静電気破壊は、電荷の流れを制限することで防止できます。

したがってバイバイスを扱うときには、導電性の手袋や指サック、導電性ピンセットの導電性工具の使用をおすすめします。

*導電性とは、金属材料のように電気抵抗が低いものではなく、電流制限特性を持った性質のことです。

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コンタミネーションの防止①|汚染:Contamination

質問:

コンタミネーションは、静電気の帯電電位、ダストの粒径などと関係がありますか、また、ほぼどの範囲のダストが付着しやすいですか?

回答:

清浄に保たれるべき製品の表面が静電気を帯びますと囲雰囲気中に漂う帯電したダストが、クーロンカによって引き寄せられて製品の表面を汚します。これが静電気によるコンタミネーションですコンタミネーションの大きさは製品表面の帯電電位の大きさに比例します。
製品表面に付着するダストの個数と、静電気の帯電電位と、ダストの粒径の関係を図に示します。製品表面が帯電していない場合、0.1~0.2μmの大きさのダストが最も付着しにくく、それより小さな粒子ではブラウン拡散の効果で粒径が小さいほど付着個数は多くなり、また、それより大きな粒子では重力の効果で粒径が大きいばど付着個数は多くなります。製品表面が帯電すると、クーロンカの効果がブラウン拡散の効果や重力の効果を大幅に上回り、コンタミネーションも桁違いに大きくなります。しかし、1μmを越える大きな粒子では、重力の効果が大きく、静電気の影響は余り、ありません。

帯電電位とダストの粒径の関係

帯電電位とダストの粒径の関係

コンタミネーションの防止②|汚染:Contamination

質問:

材料・部品などの帯電が原因で起こるダストの付着によるコンタミネーションを防止する方法、また、既に、材料・部品などに付着したダストを除去する方法は?

回答:

材料、部品(製品)が帯電すると、帯電がない場合に比べてコンタミネーションも桁違いに大きくなります。コンタミネーションを防止するには製品、近傍雰囲気の清浄度を上げる、つまり、クリーンルームのような施設を設けてダストそのものが存在しない空間を作り出すことが有効です。

しかしそのような設備投資ができない場合、製品の帯電を防止または除去することが最も有効
な対策となります。製品が導電性であれば、接地により製品の帯電を防止または除去できます。

一方、製品が絶縁性であったり、導電性であっても接地することが不可能な場合、静電気除電器で空気イオンを発生し、製品の帯電を防止または除去することができます。

さらに、製品表面に既に付着しているダストは静電気力が関与して保持されている場合が多く、静電気除電器から空気イオンを含んだ脈動気流またはパルスジェット気流を吹き付けて製品表面や付着ダストの帯電を除去しながら、ダストを吹き飛ばすことができます。ただし付着ダストの大きさが1μmより小さい場合はなかなか除去できません。

ダストを除去する方法

ダストを除去する方法

コンタミネーションの防止③|汚染:Contamination

質問:

クリーンルームで使用するプラスチックス製品に、カーボンを混入して帯電防止をしたものは有効ですか、また問題が有るのはどのような場合ですか?

回答:

プラスチックスのような絶縁物の帯電防止のために導電性物質であるカーボンを素材中に混入して導電性を付り寸ることが行われております。

具体的には、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネイト), PEI (ポリエーテエミド)、PEEK (ポリエーテルエーテルケトン)のプラスチックスにカーボン繊維を練り混んで製造されます。

元のプラスチッチックの体積抵抗率が1016Ω・cmのオーダであるのに対して、カーボンを混入すれば102~105 Ω・ cmの低抵抗となります。これらの帯電防止仕様のプラスチックス製品は、漏洩抵抗が106~108 Ω 以下のクリップ付き接地線で十分な除電が可能です。

ただし、プラスチックス本来の耐薬品性や耐摩耗性の優れた特性がカーボンを混入することである程度失われますのに、薬品を含む洗浄液に濡れたり、強く摩擦するような工程では安易に使用できません。

導電性袋

導電性袋

微粉体の静電気対策①

質問:

プラスチックス粉末を金属製容器の中に入れたり、互いに混合したりするとき発生する静電気を少なくするにはどうすればよいですか?

回答:

物体と物体が摩擦することによる帯電現象を摩擦帯電といいます。摩擦帯電の機構は現在でも完全には解明されていませんが、摩擦帯電のときに生じる電荷量はいくつかの因子の影響を受けます。

第一の因子は摩擦の激しさ・強さです。すなわち二つの物体を激しく摩擦するほど摩擦帯電量は大きくなります。そこで、質問に対する答の一つはプラスチックス粉末を金属製容器に入れるときにはなるべく静かに入れるようにし、互いに混合するときにはできるだけそっと混ぜ合わせるようにすると発生する静電気を少なくできます。

第二の因子は帯電列(帯電序列)です。
互いに摩擦する二つの物体が帯電列の上で離れているほど、発生する静電気は大きくなります。そこで、プラスチックス粉末を入れる金属製容器の材質を選べるときには、帯電列上でプラスチックス粉末に近いところに位置する金属でできている容器を用いると発生する静電気量は小さくなります。 作業空間の湿度を高めることも有効です。

微粉体の静電気対策

微粉体の静電気対策

微粉体の静電気対策②

質問:

帯電したプラスチックス粉体を金属容器に入れてアースすれば除電できるのでしょうか?

回答:

アースしてある導体は帯電してもすぐに電荷はアース線を通って流れ去ってしまいます。しかし絶縁体のときはアース線を接続しても電荷はほとんど流れ去ることはありりません絶縁体ではアース線の触れている点まで電荷が移動できないからです。

だからこの質問の場合もプテスチック粉体から電荷がなくなることはありません。帯電したプラスチック粉体の電荷をなくすには交流コロナ除電が有効なことがあります。交流のコロナ放電を行うと正、負のコロナイオンが生成されます。

そこで、帯電したプラスチックス粉体を交流のコロナ放電にさらすと、正に帯電した粒子には負のコロナイオンが、負に帯電した粒子には正のコロナイオンが選択的に付着して、帯電電荷が中和されます。すなわち、帯電したプラスチックス粉体加除電されます。また、軟x線を用いて空気をイオン化し、生成されたイオンを除電に利用することも行われています。もちろんこの場合にも湿度を高める方法も有効なことがあります。

微粉体の静電気対策2

微粉体の静電気対策2

静電気による爆発、火災予防①

質問:

可燃性の粉体が舞い上がって粉じん雲になると静電気放電によって粉じん爆発を起こす危険があるそうですが、粉じん爆発の発生条件は何ですか?

回答:

プラスチックス樹脂ヽ穀物および金属等の可燃|生粉体が粉じん爆発を起こした例はたくさんあります。この粉じん爆発が発生する条件は、粉体の粒径が100μm程度以下でかつ粉じんの濃度が数十g/m3程度以上になることです。

粉じんの着火に必要な最低のエネルギー(これを最小着火エネルギーといいます)は、およそ20mJ程度ですので、かなり大きく帯電しないと静電気放電で着火することはありません。

しかし、最近では、粒径が数μmまたは1μm以下(サブミクロンともいいます)の粉体がたくさん製造されており、中には最小着火エネルギーが数mJあるいは1mJ以下のものもありますので、このような場合には、可燃性ガス・蒸気と同様の注意が必要です。主な粉体の最小着火エネルギーを表に示しますので、参考にしてください。

最小着火エネルギー

最小着火エネルギー

静電気による爆発、火災予防②

質問:

静電気放電が原因となって発生する爆発事故の防止対策に酸素濃度を管理するとのことですが、どの程度の値(濃度)にしたらよいのでしょうか?

回答:

可燃物が燃焼するためには助燃剤として酸素が不可欠です。逆に言えば、酸素濃度を低下させれば着火源の存在する場所でも可燃性物質の爆発が防止でき、安全に取り扱うことができます。

酸素濃度を下げるためには窒素や二酸化炭素のような不活性ガスを供給する設備が必要です。目標とする酸素濃度は、取り扱う物質によって異なります。具体的な値は、表を参考にしてください。

酸素濃度管理指標

酸素濃度管理指標

静電気による爆発、火災予防③

質問:

プラスチックス樹脂や殻物等のサイロで粉じん爆発が起きたという話を聞きましたが、どのような原因で爆発が起きるのでしょうか?

回答:

一般にプラスチックス樹脂、殻物類の粉じんが爆発するに必要な最小着火エネルギーは20mJ程度です。このような比較的大きなエネルギーを放出する静電気がサイロで発生する機構として図に示すように次の四つが挙げられます。
①雷状放電:
帯電した粉じんがサイロの空間で自ら形成した電界によって空気が絶縁破壊を起こし、粉じん中を稲妻のように放電が走るものです。雷状放電の発生には、少なくとも直径3m、容積80m3の空間に帯電粉じん雲が形成される必要があるといわれています。
②沿面放電:
サイロの内壁がガラス等の絶縁物で薄く覆われていると、静電気が蓄積しやがて絶縁破壊とともに非常に大きな放電が絶縁物の表面に発生します。
絶縁層にピンホールという小さな穴があれば、この放電が起こった証拠と考えられます。
③コーン放電:
比較的粒径が大きく、かつ、絶縁性の高い粉体が、帯電して急速にサイロに供給されると、円錐状に堆積した表面で大きな放電が発生します。この現象は、比較的小さな容器でも観測されます。

④火花放電:
サイロの内部にボルト、ナット等の金属製物体が絶縁状態で存在すると、静電誘導によって帯電し付近の接地体との間で火花放電が発生します。

サイト内の静電気

サイト内の静電気

人体帯電とショック防止①

質問:

リストストラップは、なぜ1MΩの抵抗を介して接地されるようになっているのでしょうか?

回答:

リストストラップには通常1MΩの抵抗が内蔵されています。この理由は、作業者を感電事故から守るためです。
電子機器の組立工程では、作業中に作業者が低電圧配線に触れて感電する危険が考えられますので万が一作業者が低電圧配線に触れたとしても感電事故を防止するために、電流制限用抵抗(r =1MΩ)が内蔵されています。

ちなみにリストストラップをした作業者が交流100Vの配線に触れたとき、電流制限抵抗の働きにより作業者には0.1mAの電流しか流れません。この値は成人男子が知覚できる最小電流(感知電流)値上りも十分小さい値となり感電事故にはなりません。また、電流制限抵抗値をより大きな値にすると作業者に発生した静電気(電荷)を逃がし難くなりますので、作業者の安全性と帯電防止対策の効果を考慮して電流制限抵抗値は1MΩになっています。

リストバンド

リストバンド

人体帯電とショック防止②

質問:

冬になると静電気がよく発生し、電撃を受けたりすることがありますが、人体に有害ではありませんか?また、静電気放電が発生したときに出る電磁波は問題がないのでしょうか?

回答:

静電気が人体に与えるショックはヽ電圧は高いがエネルギーが小さいために、極く一瞬のことで持続することはありません。したがって、火傷、感電死など、生体に大きな傷害を及ばす原因にはならないため安心してよいでしょう。

また、静電気の放電に伴って放射される電磁波のエネルギーも小さいため、生体の細胞温度を上昇させるようなこともありません。しかし、生体に直接放電が発生すると、時には皮膚細胞の極く一部が破れ、放電跡ができることがありますが、傷になるまでにはいたりません。ただ、不意にショックを受けるため、驚いて身体のバランスを崩し、転倒、墜落のような二次災害の発生することがあるため、ショックを受けても落ち着きが肝心です。

人体と静電気2

人体と静電気2

静電気 除電器の種類

質問:

交流コロナ放電式除電器と直流コロナ放電式除電器の相違点と使用上の留意点は何ですか?

回答:

コロナ放電式除電器は除電電極の放電針に高電圧を印加し、放電針の先端に電界を集中させてコロナ放電を発生させ、正・負の空気イオンを生成します。電圧の印加方法により交流方式と直流方式があります両方式の大きな違いは、交流方式では1本の放電針から正・負の空気ユイオンか交互に生成されますが、直流方式では正極と負極の別々の放電針からそれぞれ正・負の空気イオンか連続的に生成される点です。

また、交流方式の除電電極は、放電針と接地極で構成されていますが、直流方式では接地極が不要な点も違います。交流方式では、同一の放電針から正・負のイオンが生成されますので、時間的および空間的なイオンの偏りが少なく、また、経時変化が少ないのが特長です。除電効果は、近距離では効果的ですが、遠距離での効果はやや低くなります。

一方、直流方式は、正・負の空気イオンが同時に、連続して生成されますので、除電効果は遠距離でも良好です。ただし、正・負の放電針が別個に離れて設置されていますので、近距離では正・負のイオンバランスが空間的に偏ります。

除電効果は放電針が清浄なときは良好ですが、放電針が汚れますと大きく低下します。また、コロナ放電は正・負の極性により挙動が異なり、放電針の汚れにも違いがありますので、正・負のイオンバランスが偏り易く、放電針の頻繁な清掃が欠かせません。

コロナ式静電気 除電器

コロナ式静電気 除電器

静電気の規格

質問:

電気に関係した規格・基準には、国際規格も含めてどのようなものが制定されていますか?また、それを入手するにはどうすればよいでしょうか?

回答:

電気に関係した規格・基準は、国内外のいずれのものも、材料、用品、機器およびその性能、測定・標準試験法等の種々にわたってあります。

国際規格は、主としてIEC (International Electrotechnical Commission)のTC-101、ISO (International Standardization Organization)等で制定されています。

また、BS(英国)、DIN(独国)、JIS (日本)を始めとする国内規格のほか、米国の団体規格でもあるであるAPI、NFPA、ASTM、EOS/ESDStandards (下表参照)の中にも、静電気に関係した規格・基準が制定されています。これらの規格のほとんどは、日本規格協会から頒布されていますが、入手できないものは、規格の制定機関に問い合わせれば入手できます。

静電気 国際規格

静電気 国際規格

電気の規格

質問:

欧州連合(EU : European Union)では、機器の安全性能に関して「CEマーキング」という表示を実施していますが、これはどのような制度に基づいた表示でしょうか?

回答:

EUでは各国の安全規制の相違による製品の流通障壁をなくし、製品の流通が自由な市場統合を図るために安全に対して共通した必要条件と制度を定めています。

これが欧州共同体(EC : European Communities)のEC指令(EC Directive)と呼ばれる安全性に関した制度ですが製品の安全に関する規格は、欧州規格(EN : European Norm)に委ねられています。

CEマーキング」は、Committee Europeanの略称で、これは、製造業者がEC指令に定められている条件に適合していることを製造業者が自から宣言するために、製品に貼り付けるマーク(CE)であり、このマークが貼り付けられていないと、EU外の製造業者であっても
EU内では製品の市場流通(輪出入)ができないことになっています。

CEマーキング

CEマーキング

*静電気のトラブルについては下記の本に更に詳細に記載されています。

参考文献&引用画像:

静電気トラブルQ&A 単行本(ソフトカバー) 田端 泰幸 (監修)

*さらに詳しい内容は下記の文献を参考に願います。

参考文献:

静電気の基礎と帯電防止技術 著者:村田雄司 日刊工業新聞社
たのしい静電気  著者:高柳 真
静電気トラブル Q&A  監修:田畠泰幸

図解 静電気管理入門 著者:二澤 正行 工業調査会
静電気がわかる本―原理から障害防止ノウハウまで 高橋 雄造 (著)
電気機器の静電気対策 (設計技術シリーズ) 水野 彰 (監修)

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