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何故、静電気が発生?

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変形・破壊による帯電

固体に力を加えて曲げたり伸ばしたり変形させると,帯電することがあるといわれている。圧電体と呼ばれる一群の結晶体は,力を加えることによってその表面に電荷を発生する性質があるがこの電荷は力を取り除くと消滅するため,静電気とは呼ばない。

しかし,圧電効果で発生した電荷が,他の物質の表面や空間に浮遊している電荷を引きつけることが考えられる。その場合は力が取り除かれた後,圧電効果による電荷は消滅しても引き付けられた電荷はそのまま残留し,静電気となる(図1.12)。髪の毛を指でしごく時の帯電は,このような原因によるものとの説がある。

圧電効果による帯電

圧電効果による帯電 画像出典先:静電気の基礎と帯電防止技術 村田雄司 (著)

固体を砕いて粉にしたり,液体をノズルから噴射して細かい液滴にする際などに,粉の粒子や液滴が帯電することが知られている。この種の帯電では,破壊され分裂してできる粒子の帯電量の総計は零になり,個々の粒子は正負に帯電したものが等量存在することになる。すなわち,塊が二つに分裂するとすれば,一方が正極性になると他方が負極性になり,その電荷量の絶対値は等しくなる。もとの塊が帯電していると,分裂した破片の帯電量の総計はもとの塊の帯電量になることはむろんである。

電子流およびイオン流による帯電

物体表面に荷電粒子(電子およびイオン)を衝突させると,その一部は表面に捕らえられて静電気となる。電子顕微鏡で試料を観察するとき,試料が絶縁物の場合は電子ビームを受けて帯電してしまうため,表面に電荷を逃がす薄い金属層を形成しておくのが普通である。半導体などに不純物をドープするために行うイオン打ち込みの際の帯電も知られている。

高電圧を加えた針先や細い金属線の回りに発生するコロナ放電はイオンを生成する。このイオンを用いて絶縁体を人為的に帯電させる方法が,電子複写機や電気集塵装置など,帯電現象を利用する装置に広く用いられている。また,これは電荷を除去する装置(除電器)にも活用されている。

荷電粒子が関係する帯電現象として,上記の現象に対照的な現象が自分から荷電粒子を放出する際の帯電現象である。物体を加熱したり,物体表面に光や放射線を照射したり,あるいは表面を削るなどの刺激を与えると,その表面から電子が放出される。これらの現象を,それぞれ熱電子放出,光電子放出,エクソ電子放出と言っている(放射線照射の場合は光電子放出ばかりではない。電荷を持った粒子線の場合は,物体内部で電荷が捕捉され帯電する)。

物体表面が負電荷を持った粒子である電子を放出すると,その表面は正極性に帯電する。地球を回っている人工衛星では強い太陽の紫外線によってこのような帯電現象が起こる(この場合は,むしろ別の原因で負帯電になる傾向を抑える働きをしている)

 燃焼に伴う帯電

化学反応は原子・分子間の電子のやり取りであるから,反応物質は原子・分子のレベルでは帯電することになるが,これは静電気とは言わない。しかし,物質力燃焼する酸化反応では,帯電現象が観測されることがある。例えば,線香や紙を燃やすと,煙粒子は正極性に,残った灰は負極性に帯電する。したがって,負極性の帯電体には煙の粒子が付着しやすくなる場合がある。

蝋(カルナウバ蝋)に松脂を混合して作った板状試料の表裏を電極板で挟み浅い容器に入れる(図1.13)。電極板に直流電圧を加えながら容器ごと加熱し,試料が融解した後温度を下げて室温にもどす。その後電極を取り去り試料の帯電状態を測定すると,表面と裏面が逆極性に帯電している。表裏の電荷の絶対値はほぼ等しい。これは日本人の江口博士が発見した帯電現象で,長い時間その電荷が保たれる性質があり,永久磁石のマグネットに模してエレクトレットと名付けられた。

江口エレクトレット  画像出典先:静電気の基礎と帯電防止技術 村田雄司 (著)

江ロエレクトレットは,始め接触していた電極に加えた電圧の極性と逆に帯電しているが,時間が経過して行く間に電荷が減衰してほとんど無くなり,さらに逆極性になって,電極の電圧極性と同じ極性で落ちつくように変化する場合がある。実験条件や試料の組成によっては,あとの帯電極性の変化が起こらなかったり,また最初から接している電極の極性になっていたりすることがある。この現象は複雑であるので,そのうちの一つの解釈を述べておく。

すなわち,まず試料内部の有極性分子が電極の電荷に引きつけられて回転して電極の方向に整列する現象(電極の電荷の極性と逆極性の部分が電極に面する)と,電極から電荷が注入される現象(電荷の極性は電極の電圧の極性と同一極性)とが同時に起こる。最初は前者の電荷が多いが,時間が経過すると整列した有極性分子が熱運動によって電圧を加える前のランダムな状態に戻り,注入された電荷の影響が強く出て,表面に接する電極の極性に帯電するようになると考えられる。

エレクトレットの電荷は,エレクトレット状態になった材料を水につけたり炎にかざしたり,あるいは除電装置で除電したりしても,一時的には消滅するが少し時間が経過するとまた現れるのが特徴である。
エレクトレットでは前述のように表裏の電荷の絶対値はほぼ等しいから,これを電荷量の測定器に入れて全帯電量を測定するとほとんど零である。しかし材料の特定の面だけについて言えば高密度の電荷が存在する。誘電分極という現象もこれに似ていて,誘電体(絶縁体)に帯電体を近づけたり,電極で挟んで電圧を加えると,表面に外からの刺激に対抗するように電荷が現れる。

江口エレクトレットの原理

江口エレクトレットの原理

しかし,この電荷は「刺激」を除去するともとに戻ってしまうため,静電気ではないエレクトレットは上述の方法だけでなく,光や放射線を照射しながら電圧を加える方法や,コロナ放電を利用する方法によっても作ることができる。エレクトレツトには種々の応用面があり,現在では高分子フィルムを用いてコロナ放電による方法で生産され,空気中の微粒子を静電気の力で取り去る高性能工アフィルタなどに利用されている。

エレクトレット状態は,高分子材料が塑性流動を伴うような変形を受けるときにもできるといわれている(機械的エレクトレットと称する)。一度エレクトレット状態になってしまうと,その電荷は摩擦によって発生した電荷などよりも永続性が高く,なかなか消滅しないので,扱いが難しい場合がある。

粉体の帯電現象

粉体の表面積と帯電量

固体の固まりを細かい粉体粒子に分割すると,その総表面積は飛躍的に大きくなる。話を簡単にするために,球形の物体と同じ質量のより細かい球形粒子の集まりとを比較してみよう(図1.14)。最初の球体の半径をr1,粒子の半径をr2とすると,球体と微小粒子の表面積はそれぞれs1=4πr1およびs2=4πr2であって,微小粒子の数はN=(4πr1/3)/(4πr2/3)=(r1/r2)3個になるから両面積の比Rは
R = S(粒子)/S(球体)=4πr2×N/4πr12=r1/r2
(1.1)
したがって,球体の表面積に対してこれと同じ体積の微小球粒子の集まりの総表面積は,球体の半径を微小球体の半径で割った値(r1/r2)倍になる。例えば直径1cmの球体を細かく碎いて直径10μmの球形粒子の集合を作ったとするとその総表面積は最初の球体の1,000倍になる。

粉体と固体の表面積

粉体と固体の表面積

静電気はふつう物体の表面に発生するから,他の条件を同じにすれば表面積の大きい物体ほど帯電量が多くなり得ると考えて良い。この原理によって粉体は単位質量当たりの帯電量が多くなるのが特徴となり,前述の例では,帯電量も1,000倍程度になる可能性がある。
粒子サイズが数~数10μmの高分子粉体は,帯電すると多くの場合1g当たり数~数10μC(1μは10-6)程度の電荷量を持つ。これが粉体の集まりではなく[1gの塊]であれば,たかがか0.01μC(10-8)の程度の電荷量しか持たないから,この量はかなり大きなものである。

この種の粉体を100~1,000 kg集めると,その帯電量は多い時には数[C](クーロン)の程度になる。この値は雷の1回の放電量にも匹敵する。特に帯電しやすくした電子写真のトナー(粉体インク)は,その大きさが大体7μmの程度で,1g当たり最大で100μC近くにも帯電する。このような粉体では,わずか10 kg で1Cになってしまう。
このように高い帯電状態になりやすい粉体は,固まりの状態に比べて静電気の障害も起こしやすくなる。

粉体特有な帯電原因

粉体の帯電は,原理的には接触・摩擦や荷電粒子によるものなど,固体の帯電原因と異なるものではないが,見かけ上粉体に特有なさまざまな現象で帯電する。

(1)流送帯電

これは粉体粒子をパイプ内で空気輸送する場合などに起こる現象で,輸送される粒子は,パイプの曲がり部分で方向を変える際にパイプ壁に衝突し強く帯電する(図1.15)。衝突速度が大きいと,衝突の衝撃により接触面積が大きくなるため帯電量も多くなる。衝突帯電は極めて短時間の接触によって起こる帯電現象である。

流送における粉体の帯電

流送における粉体の帯電

粉体の帯電量は,パイプの長さが増せば当然増加する。パイプの長さLに対して粉体の帯電量Qは指数関数的に増加する。

流送帯電で重要なもう一つの因子は,パイプ内の粒子密度である。粒子密度が低いと,流送される粉体粒子は1粒子ずつパイプ内壁に衝突し帯電するから帯電量は粒子密度の変化に比例して増減する。

ところが,粒子密度が高くなると,各粒子がお互いに運動を邪魔し合うようになって,全ての粒子がパイプ内壁に衝突することができなくなる。そのため,粒子密度が増加した場合,総帯電量は流送量に比例しなくなる。すなわち,単位質量当たりの電荷量は一定ではなく,粒子密度の増加に伴って減少することになる(図1.16)。このことから,粉体を流送する際の粉体の帯電量をできるだけ減らすための一つの方法は,パイプ内の粉体密度を上げることであると理解される。

流送帯電での粒子密度と帯電量の関係

流送帯電での粒子密度と帯電量の関係

2)攪拌・混合帯電

容器に粉体を入れ攪拌したり,あるいは他の粉体と混合する際などには粉体は強く帯電する。また,粉体を入れた容器そのものを動かしたり振動させたりする場合にも帯電する。特に容器内部の帯電現象では微粉が容器内に漂い,静電気放電による粉塵爆発の危険性もある。

攪拌機

攪拌機

(3)その他の帯電現象

粉体を篩分けする際には,篩の網との接触・摩擦で帯電し,篩の目に付着する。そのため,篩の目が実効的に小さくなってしまう。
ノズルから粉体を噴出すると,主にノズルとの摩擦によって帯電するが,これにはそれまで一緒になっていた粉体粒子が分裂することによる帯電も含まれている。またすでに述べた誘導帯電は,導電性の粉体を噴出するときの帯電の原因になることがある。金属製のノズルから導電性の粉体を噴射する場合,ノズルの近くに帯電体があると噴出する導電性粒子は帯電体によって誘導された電荷を持って飛び出すから,帯電体と逆極性に帯電することになる。

空気を高速で噴出する際などに,空気が帯電しているような現象が現れることがある。これは空気中に含まれる微細な埃や水の粒子の帯電で,通常は空気が固体に衝突して帯電することは無い。飛行機の帯電は,空気中の微細なエアロゾルと機体との衝突の結果である(この他に,排気ガスの中にイオンが含まれていることが原因になるとも考えられる)。

炭酸ガスの高圧ボンベから噴出する炭酸ガスにさらされた物体が帯電することがある。これは噴出するガスにドライアイスが含まれるためと解釈されている。ボンベが電気的に大地から絶縁されているとボンベ自身が帯電することがある(図1.17)。ボンベの帯電極性は,ドライアイス粒子の帯電極性の逆になっている。この種の帯電現象は,エアコンプレッサーからの空気の噴出でも見られる場合がある。

ボンベの帯電

ボンベの帯電

粉体を液体と混合すると,固液境界面で電荷分離が起こり,液体中で帯電する。塗料の溶剤中に分散している顔料などの粒子の分散性には,この帯電現象が重要な役割を担っている。

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 粉体帯電のその他の特徴

摩擦帯電の項で述べたように,大きな粒子と細かい粒子を混合する場合は,非対称摩擦の効果で同じ材料で出来ている粒子同士であっても帯電することが知られている。
固体を粉砕して粉体を製造する工程では,発生する微粉が強く帯電する場合がある。この帯電は非対称摩擦と粉砕による帯電の両方が原因になる。種々の工程で大きな粉体が壊れて生じる微粉についても同じである。微粉は量的には少ないとしても,帯電量としては主役になり得る。

 液体の帯電現象

 流動帯電

パイプ中に液体を流すと帯電する。これを流動帯電と言っている。液体と固体のパイプ壁が接触すると,パイプ壁に選択的に正あるいは負の電荷(イオン)が吸着され,液体側には反対符号の電荷が残る。液体の流動によって液体側に分散した電荷が持ち去られることが,流動帯電の原因であると解釈されている(図1.18)。

流動帯電

流動帯電

液体の帯電量はパイプの長さと流速に依存するが,液体の電気抵抗にも依存し,広い範囲の条件で成立する帯電式はない。帯電した液体がパイプ中を流れると電流を運ぶことになる。この電流を流動電流と言っている。流動電流については古くから研究されており,種々の式が提案されている。その代表的なものに次の式がある。
Is=I∞{(1― exp(-L/vτ)}                 (1.3)
ここにIsは,I∞はパイプが無限大の長さであるときの流動電流,Lはパイプの
長さ,vは液体の流速,τは定数である。I∞についても種々の式があるが,その
ひとつは
I∞=Av2d2                      (1.4)
ここにAは定数,dはパイプの内径である。
ここで述べた流動電流はあくまでも電流であって帯電量ではないが,パイプを通った液体がタンクの中に溜まる場合などは,電流×時間が帯電量になる。ただ液体が絶縁体でない場合には,タンク内の電荷がパイプ内に逆流し,流動による電流とバランスが取れる状態で,帯電量が決まることになる。

 噴霧帯電

ノズルから液体を噴出する場合には,水のような導電性液体でも帯電する。噴出ひれた液体は,小さな液滴になって空中に浮遊するため,導体であっても電荷の逃げ場が無くなり,電荷を保持するためである。同じ原因で水蒸気も帯電している。この現象は,雲が帯電し雷が発生することを考えると,容易に理解できる。

水が噴霧されると,できる液滴の大きさはある分布を持つが,特に大きな液滴と細かい液滴の間には帯電極性の逆転が見られる場合がある。水の表面は負極性に,そのすぐ内側は正極性に帯電しており,水が分裂して小さな粒径の液滴ができると,小さな液滴は負極性に帯電し,大きな液滴は残りの正極性電荷を持つ傾向がある。これをレナード効果という。

レナード効果2

レナード効果

 その他の帯電現象

流動帯電の変形として,フィルタを通る際の帯電は重要である。フィルタの目が細かいと流れる液体は強烈に帯電する。液体とフィルタ材料との間の接触面積が極めて大きくなるためである。

液体を容器に入れて攪拌したり振動を与える際に,帯電することが知られている。帯電体の近くで導電性の液滴が落下したり,あるいは導電性液体を噴霧したりすると,誘導帯電によって帯電する(図1.19)。導電性の液体は流動帯電では比較的帯電しにくいが,誘導帯電では条件によっては簡単に帯電してしまうから注意を要する。

液滴の誘導帯電

液滴の誘導帯電

油の中に水を注ぐと、比重の大きい水は、水滴となって油の中を沈んでいきます。そして、沈んでいく際に水滴と油とが擦れあって両者に静電気が溜まりますが、これが沈降帯電です。水滴側に溜まった静電気は、水滴は容器の底で集まって水の層を形成しますので、そちらに移りますが、その後の静電気の挙動は、容器の材質によって異なります。

容器が金属製であれば、水、金属ともに電気を通しやすいので、静電気は、容器経由で一瞬のうちに大地に逃げていきます。
それが、容器がプラスチックのような電気を通し難い物質でできていると、静電気は、しばらくは水の層の中に溜まったままで、時間の経過とともにゆっくりと大地に逃げていきます。

一方、油に溜まった静電気は、油は一般的には電気を通し難い性質を持っていますので、しばらくは油の中に溜まったまま。そのうちゆっくりと大地に逃げていきます。
この沈降帯電は 液体どうしを混合する時や液体中に固体の微粒子を混合する際にも帯電現象が観測される。液体中に微粒子を分散させると微粒子は液体との接触で帯電するから,微粒子が液体中で沈むときには粒子密度の低い上部液体と粒子密度が高い下部液体との間に電位差ができる。

水を容器に入れ,端から氷らせる時にも帯電現象が見られる。氷になる際には,水に分散している不純物が氷になる部分から排出される傾向がある。そのため,不純物が電荷を持っていると,凍った部分と液体の部分との間で電荷密度の差ができる。この帯電現象では,数100 V の電位差が観測されている。
静電気放電が障害や事故のもととなる、静電気放電への有効な障害対策を見出すには,まず静電気放電そのものについて知らねばならない。本章では静電気放電のうち重要なものについて解説する。

静電気放電の特徴

静電気以外の分野では高電圧電源があってこれに接続されている電極で放電が起きる。これを一般放電と呼ぶことにする。
一般放電は高電圧送電などに関係しているため,広く研究されてきた。静電気放電の方は,現象論的な研究報告が少しあるだけである。
静電気放電とふつうの放電とを比較すると,次のようなになる。
①静電気放電の原因となる電荷は問題となる物体に分布しているのに対しふつうの放電での電荷は電極と高電圧電源に集中して存在している。これは静電気放電とふつうの放電との違いのうちでもっとも重要な点である。
②静電気放電では,問題となる系で物体が移動していることが多い。摩擦・剥離による電荷発生と帯電,物体どうしの接近によりギャップ長が減少して(ワゴンがコンピュータ位体にさわるとか,人間の指がキーボードを操作するとか)放電が起きるなど,その例である。ふつうの放電では,物体の空間移動は前提とされない。
③静電気放電の原因となる分布電荷はあまり大きくないことも多く,その結果として起きる放電1発のエネルギーは大きくない。反面,分布電荷による放電であるので,放電電流の立ち上がり速度は非常に速い。静電気放電の立ち上がり時間は40pSであり,またそのスペクトルは数十GHZまで伸びているとも言われる。

④静電気放電は高速であるので,誘導によるEMC障害(ノイズ)源として きわめて危険である。

静電放電の見える化|可視化

リヒテンベルク粉図形による可視化

リヒテンベルク粉図形(放電粉図形)は,放電したあとの物体(金属などの導電性物体でなく,絶縁性物体)に粉を振りかけると現れる図形である。これにより,放電によって生じた電荷(残留電荷)の分布が可視化される。粉はどんなものでもよい。ポリ袋や,ファクス・複写機の位体や給紙トレーなどにできる模様は,静電気放電の跡にほこりがついたものである。
正帯電した粉と負帯電した粉を混ぜた二色粉を使うと,電荷の極性がわかる。

リヒテンベルク粉図形

リヒテンベルク粉図形

これは,他のいかなる放電検出法にもない特徴である。一般に,放電の特性は極性によって著しく変わるから,リヒテンベルク粉図形は非常に有用な放電研究法である。
リヒテンベルク粉図形法の実際について説明しておこう。粉としてはカラーコピー用の粉が便利であり,色も選べて粒径が小さいので図形の分解能が良好である。カラーコピー用の粉(トナー)には,黒・赤・青・黄・茶などの色があり,極性も正のものと負のものがある。ただし,正に帯電したトナーは種類が少ない。
まず,色の識別がしやすくて極性の異なる2種類の粉を選定する。これらの粉は複写機メーカーから分けてもらえるであろう。 トナーだけのものとマグネチックキャリヤ(鉄粉)を混ぜたものとどちらも入手できる。実験ではキャリヤ入りのもので赤(正に帯電)黒(負に帯電)をだいたい1:1に混合し,非金属スプーンですくって誘電体板・シートに振りかける。

実験で使用した粉では,赤の粉自体は正に帯電しているから物体上で負の電荷が存在しているところに付着するし,黒の粉は正の帯電場所につく。だから,正負電荷の分布が色分けして明
瞭に示される、 粉を振りかけ(現像)たら,物体を軽くはたいて余分な粉を落とす、これで残留電荷の図形が得られる。
電子写真(複写)には,溶媒に力-ボン粉を分散した現像液を使う方式もある。
この湿式複写用現像液を用いて,放電図形を可視化することもできる、これらの方法はやってみると簡単である。

イメージインテンシファイヤによる可視化

リヒテンベルク粉図形では,空問分解能はあっても時問分解能がないが,イメージインテンシファイヤを装置したビデオカメラは,空間分解能だけでなく,時間分解能もある。ただし,放電や電荷の極性判別ができない。そのためこの両方法を併用すると,空間分解能、時間分解能,極性判別がそろうので,静電気放電のふるまいがわかる。
イメージインテンシファイヤは画像を増幅する素子であり,たとえば,暗いところで射撃の標的をねらうスナイパー・スコープとして使われる。図5.1はイメージインテンシファイヤの例で,増幅された像が直径18mm程度の蛍光面に現れる。1本のイメージインテンシファイヤの画像増幅度では不十分な場合は,2本をカスケードにして使う。放電の速さはビデオのコマ送りよりもずっと速いけれども,イメージインテンシファイヤの出力蛍光面の残光特性があるので,物体の運動に伴って起きる静電気の様子が動画として家庭用ビデオかメラで撮影できる。

イメージインテンシフアイア

イメージインテンシフアイア

イメージインテンシファイヤは超高感度素子であり,強い光が入ると光電面が焼けてしまうので,暗室で撮影する必要がある。

イメージインテンシファイア(Image Intensifier)は夜間の月明かりあるいは星明かり下での暗視(監視)用として開発された製品です。極微弱な光(発光や物体からの反射光等)を検知・増倍して、コントラストのついた像を見ることが可能です。主な用途は、夜間監視用のナイトビュアあるいはICCD (Intensified CCD)カメラとして、科学技術研究に使用されています。ゲート動作が可能なタイプは特に高速現象の観察、時間変化の解析に使用されます。

*さらに詳しい内容は下記の文献を参考、願います。

参考文献:

静電気の基礎と帯電防止技術 著者:村田雄司 日刊工業新聞社
たのしい静電気  著者:高柳 真
静電気トラブル Q&A  監修:田畠泰幸

図解 静電気管理入門 著者:二澤 正行 工業調査会
静電気がわかる本―原理から障害防止ノウハウまで 高橋 雄造 (著)
電気機器の静電気対策 (設計技術シリーズ) 水野 彰 (監修)

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