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帯電防止対策の基本

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パルスACタイプ特徴
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除電、帯電防止とは?

静電気トラブルを回避するには、静電気そのものの発生を抑えるか、もしくは静電気が発生しても帯電しないようにするしかない。物体同士が接触または剥離すると静電気は発生する、たとえ同じ材質同士でも表面状態などによっては静電気が発生する。摩擦を少なくしたり、接触面を小さくしたりすることで静電気の発生を少なくすることはできるが、無くす事はできない。

したがって静電気が発生しても、過剰な電荷をアースへ流したり、電位が上昇しないようにしたり、中和したりする方法がトラブルを解消する対策となる。

 対策方法には主に接地、加湿、導電化、遮蔽、イオンによる中和等がある。

接地による除電対策

接地は静電気除去の最も基本的な対策である。地球(アース)は巨大な導体であり、地球上どこでも同じ電位で、電荷の無限の供給源かつ吸収源である。

電線などを使って、地球と電気的に接続することを『接地』という。他にも「アース」、「グラウンド」、「FG」ともいう。

又、帯電する材料を導電化できれば,その材料の一端を接地することによって容易に電荷を除去することができる。

接地は金属など電荷が流れるものに対しては効果があるが、絶縁体では効果が期待できない。図11に接地による帯電防止効果の目安を示した。

抵抗率と接地による帯電防止効果

抵抗率と接地による帯電防止効果

・1012Ω・m 以上は接地の効果はほとんど期待できない。

・1010~1012Ω・mでは、静電気の発生が小さければ接地の効果はある。

・1010Ω・m 以下では、接地の効果は大きい。

除電対象物が導体の場合~金属等の接地

金属等の接地

金属等の接地

除電対象物が不導体の場合~樹脂等の接地

樹脂等の接地

樹脂等の接地

 アース線

接地には、雷電流を大地に安全に流す為の落雷防止用接地、感電防止を目的とした電気機器の保安用接地(感電防止用接地)等色々あり、その目的により接地抵抗か決められています。

いずれも大地の表面が零電位であることを利用したものですが静電気対策の接地は、摩擦や誘導により発生した静電気を大地に漏洩させ、静電気の蓄積(帯電)を防ぎ、物体の電位を大地と同電位または最小の電位差にすることを目的とします。

静電気帯電防止を目的とした接地は、保安用接地と異なり常に1MΩ未満を満足すれば、その目的を満足します。したがって静電気対策のために実施する接地も特別の工夫をする必要がなく、大部分の場合は保安用接地と兼用できます。

*参考:A種(第1種)接地の場合は10Ω以下

静電気破壊防止用接地

静電気破壊防止用接地

商品化事例 リストストラップ、フットストラップ

非常に帯電しやすい人体の電荷を大地(アース)逃すには、人体は導体に近いので、接地がとても有効的な手段になります。人体の接地するツールとして「リストストラップ」があります。リストストラップとは、人体より発生する静電気が、作業中に製品に悪影響を与えないよう作業者の皮膚を接地することで、人体の電位を逃す為のツールです。静電気防止を行う上でリストストラップは必ず着用するべきです。

EPA (静電気放電保護区域)を構成する静電気管理製品の最も重要で、古くから使用されているものがリストストラップです、大航海時代( 15世紀末から17世紀中頃)には火薬の運搬車にはチェーンが取り付けられていたという記録もあります。

リストストラップ

リストストラップ

リストストラップの選び方

リストストラップを効果的に使用するためには、カフ部の皮膚接触が最も重要なので、しっかり手首にフィットし、完全に皮膚と接触するように使用します。
主に選定時の内容としては下記のことを検討する必要があります。
①耐溶剤特性
作業領域内で使用する可能性のある溶剤によって、リストストラップの構成材料が劣化ないこと、特性が変化しないことを確認します。
②耐汗性
人体の汗が原因でリストストラップの金属製部分に錆や金属腐食に対する耐久性を点検します。
③留め具の構造(着脱性)
リストストラップの着脱加減を点検。リストストラップは着脱が簡単で、作業中にあまり簡単にはずれることのない程度の接合力が必要です。
④接地ワイヤー(強度、長さ)
接地ワイヤー(リード)の強度は、着脱試験で定めた基準値を上回っているか点検。
⑤寿命、信頼性
ライフ(寿命)試験装置により、リストストラップの交換サイクルを点検します。
⑥電流限界抵抗
電流限界抵抗は、高電圧電源からの電流値をあるレベル以下に設定され、通常1MΩ~800kΩ程度となっています。
⑦使いごごち
作業者に不快感を与えない装着感(違和感)を点検します。

リストストラップの検査

リストストラップは消耗品で、各構成部分は経時変化するものです。そのため、使用に際しては、定期的に各部品を検査する必要があります。

検査を行うためにリストストラップ・チェッカーという検査装置が販売されています、このチェッカーは、手首バンド、接地コード、手首バッドと着用者間接続の電気的接続などのリストストラップ特性を評価するために古くから使用されていたものです。

このチェッカーは、正しく使用すれば、試験時に、リストストラップの接続、あるいはシステム部品の欠損を発見することができます。

リストストラップ・チェッカー

リストストラップ・チェッカー

 関連記事:静電気防止リストバンドの正しい選び方、使い方 

 導電靴(静電靴)

静電気帯電防止靴(以下「静電靴」といいます。)は,人体に帯電する静電気を靴底を通して漏洩させる構造をもった靴をいいます。
静電靴の用途としては,
①爆発,火災,電撃のような事故および災害の防止
②電子素子の破壊などの生産障害の防止
の2種類の用途があります。

静電靴は靴底のゴムやウレタンの材質に導電性物質をブレンドして、人体の静電気を床に漏洩させる特長を有します。

静電靴、静電シューズの仕組みは図17の構造になっており、中底から靴底を経てアースする構造の為、内部構造の改造及び絶縁性中敷のご使用は厳禁です。

静電靴

静電靴

静電靴の点検

静電靴は床のゴミ、汚れにより導電性が低下しますので定期的に導電性を点検しなければなりません。
写真は、静電靴が正常に機能しているかを確認する静電靴チェッカーです。この装置は計測部と靴側電極部からできています。作業者は電極部の上に乗り、計測部のタッチパネルにさわると、若干の電圧が印加され、電気抵抗値がJlS1803(静電気帯電防止靴)を満たしているかを測定します。適合しているかどうかは、「ピッ」という音とともに良否判定LEDに表示されます。

静電靴チェッカー

静電靴チェッカー

関連記事:静電靴の賢い選び方、使い方

リストストラップ&静電靴点検の標準化

リストストラップ&静電靴点検の標準化

リストストラップ&静電靴点検の標準化

 導電化

帯電する材料を導電化できれば,その材料の一端を接地することによって容易に電荷を除去することができるから,導電化は重要な帯電防止手法である導電化の方法としては,材料の表面を導電化する方法と,体積内部を導電化する方法に分かれる。

【表面導電化】

  金属皮膜の形成:化学めっき,真空蒸着,スパッタリングなど

  導電性塗料:塗料に導電性材料の微粉を混入

  表面親水化:界面活性剤

【体積的導電化】

高分子材料の体積的な導電性を増すための最も一般的な方法は,導電性材料を高分子材料中へ混入することである。導電性材料としては,金属粉,カーボンブラック,カーボン繊維などが用いられる。

導電性床&導電性シート

静電気管理を行う上で、管理領域の床帯電は、移動する人間や機器類に静電気を発生させる大きな要因となります。床の静電気防止管理を大きく2つに分けると、まず、“作業者との接触においての帯電を抑制する”帯電防止の考え方と、“発生した電荷を穏やかに拡散する”接地の考え方があります。次の表は、静電気防止床材料とその構造的な特徴や利点などを比較した表です。

導電性床&導電性シート

導電性床&導電性シート

静電気防止床材料と構造的な特徴

製品名 利点 問題点 電気特性
カーペット 見栄え・快適さ 電子産業工場用途では使用しない。 通常は約1010Ω
フロアマット
①導電型
②静電気防止型
設置容易
最適な静電気防止特性
既存の床に使用可能
局所的保護
カールしやすい
温度依存性あり
コンタミの発生あり
107Ω以下
109~1012Ω
静電気防止塗布床
①導電型
②塗布床型静電気防止剤
③床用静電気防止剤
普通の床に使用可能
良好な静電気防止特性
処理が簡単・コスト安
処理が簡単・コスト安
コンタミ耐久性
ライフ、特性
バラツキ、温度依存、
保守/再処理
107以下
109~1012Ω
109~1012Ω
静電気防止張床 静電気防止特性が良い
耐久性・永続性が良い
一部クリーンルームに使用できるものがある
コスト
既存設備への取付
105Ω程度

静電気防止床材 評価方法

現在、床材の帯電防止性能の評価方法としては、表面抵抗、漏洩抵抗、床の帯電防止性能評価値、人体帯電電位などが一般に用いられている。そのうち、表面抵抗においてはNFPA99で規定されている所定の金属電極を用い、電極間距離を91cmとして測定することが一般的である、規格値としては表面電気抵抗値は1×10MΩ以下、定期的に静電防止床材の測定を実施することが必要である。

NFPAとはNational Fire Protection Association(米国消防庁)の規格で NSI/NFPA99 を指す。床材の表面の電気抵抗や、表面からアースまでの間の電気抵抗を、絶縁抵抗計測器によって測定する試験方法。

表面電気抵抗測定

表面電気抵抗測定

導電性材料

ESD (静電気放電) 対策の為に 床、作業デスク、包装材、ツールなどに静電気対策用に導電性材料が用いられることがある。導電性材料として色々あるがその導電性 (抵抗率) によって 大きくいくつかに分類することができる。表面抵抗率による分類の1つは、次のようなものである。

分類 表面抵抗率の範囲(単位:Ω/sq
導電性 ~105 Ω/sq
静電気拡散性 105~109 Ω/sq.
帯電防止 109~1014 Ω/sq.

この分類では抵抗率の幅が非常に大きい (同じ分類の中で 100,000倍もの差がある) こともあり、 一概には言え部分があるが・・

導電性 ―― 帯電した物体が接触した場合に激しい ESD を起こす可能性があるほど 高い導電性 (低い抵抗) を持つもの。
静電気拡散性 ―― 帯電した物体が接触した場合に激しい ESD を起こすことなく、 かつその帯電を比較的すみやかに消散させられる程度の導電性を持つものの、 静電場を遮蔽できるほどの導電性は持たないもの
帯電防止 (静電気防止) ―― それ自身の帯電をある程度防止できる程度の導電性は持つものの、 帯電した物体の静電気をすみやかに消散させられるほどの導電性はないもの

導電性材料を用いた商品

導電性材料を用いた商品

関連記事:静電気防止床材の選び方、使い方 

静電気帯電防止作業服

半導体工場で用いる服に無塵衣とか、防塵服と呼ばれるものがあります。これは人体からでるホコリを防止するものですが、同時に静電気対策でもあります。繊維中に細かい金属繊維が織り込んであり、これが導電性を帯びています。
そして人体が静電気を発電しても、衣服がそれを外部に漏洩させ、帯電しないようにし、半導体を静電気から守っているのです。

静電気帯電防止作業服

静電気帯電防止作業服

静電気帯電防止作業服の洗濯

図21は、洗濯回数による上着の特性劣化を示したものです。縦軸には、減衰時間、横軸は洗濯回数を示しました。図中の直線がESD管理時の劣化予想曲線で、この例では、1種類のみが合格していました。

試験方法については、測定上着を絶縁性のハンガーにつるして、5000Vを加えた後の接地後の減衰時間を測定したものです。この減衰測定の秒数および劣化の許容範囲などは、作業により異なるためにさまざまなデータの蓄積が必要になります。

静電気帯電防止作業服の洗濯

静電気帯電防止作業服の洗濯

帯電防止剤~界面活性剤のメカニズム

静電気防止対策として、絶縁体の表面に界面活性剤をスプレーで塗布する方法があります。界面とは、2つの性質の異なる物質の境界面のことをいいます。界面には水と空気の界面、水と汚れの界面、汚れと衣類の界面などがあり、界面活性剤はこのような境界面に働いて、表面の性質を変える物質のことをいいます。界面活性剤は洗剤や石けんなどにも使われ、水にくっつきやすい成分を持つことが特徴です。

帯電防止剤~界面活性剤のメカニズム

帯電防止剤~界面活性剤のメカニズム

関連記事:静電気帯電防止作業服の正しい選び方、使い方

加湿と静電気

湿度(相対湿度)が低いほど静電気が発生しやすくなります、日本で静電気が冬場に問題になるのは相対湿度が低くなるためで、温度が低くても湿度が高ければ静電気は発生しにくくなります。

相対湿度

相対湿度とはある温度の空気中に含みうる最大限の水分量(飽和水蒸気量)に比べて、どの程度の水分を含んでいるかを示す値%RHで表します。一般的に湿度を表す時に使用します。

相対湿度

相対湿度

絶対湿度

絶対湿度とは湿り空気(一般に存在する空気)中の乾き空気(全て水分を含まない空気)1kgに対する水蒸気の重量割合を示し、<kg/kg’>で表します。

絶対湿度

絶対湿度

相対湿度と静電気帯電量

乾燥時(相対湿度:10~20%)及び湿潤時(相対湿度:65~90%)の発生要因別の帯電量は下記のグラフが示すように圧倒的に20倍以上、乾燥時に帯電量が多くなります。

相対湿度と帯電量

相対湿度と帯電量

静電気帯電量の変化点は相対湿度50%付近であり、50%を切ると急激に帯電量が高くなります。

相対湿度と帯電量

相対湿度と帯電量

日本では50%を切る時期は少なく静電気が起きやすい気候ではないですが冬場には静電気が発生しやすいと思われています、大きな原因は室内の暖房です。冬場、外気温が低下して室内を暖房すれば気温が上昇し、それに伴いその気温の飽和水蒸気量が上昇して相対湿度が低くなります。

次の図の例にように温度10℃、相対湿度が50%の室内の場合、暖房して気温が25℃になると相対湿度は20%に大きく低下、静電気が発生しやすくなる

相対湿度と静電気帯電

相対湿度と静電気帯電

 加湿の利点、欠点

加湿は古くから知られる静電気除去方法です。とくに広い工場全体に分布する静電気を除去する時などに用いられてきました。空気を加湿し湿度を65%以上にすると、物体の表面が湿気を帯び、表面に導電性が現れて静電気は流失するとされています。
しかし、材料によってバラツキがあり、加湿しても静電気が抜けないこともあります。たとえばナイロンの場合、湿度を80%にしても静電気は抜けません。このように、対象とする材料によって効く場合と効かない場合があるので注意を要します。

 また、加湿するとしても、空間全体の湿度を均一にすることは難しく、あちらこちらで結露が発生しやすくなります。結露が発生すると、次のようなさまざまな問題が発生します。

加湿の問題点

 静電気&結露が発生しにくい湿度管理がキーポント

電子部品が錆びる:

半導体のピン(足)が錆びてハンダ付け不良が発生。

リレー、コネクターの接点部が結露、酸化し接点不良を発生。

塗装工場:塗装ムラが発生し、また、換気ができなくなる。
機械設備が錆びる:

工作機械の摺動部に錆を発生させ、動作不良が発生。

射出成形用の金型が錆びます。とくに鏡面仕上げ(きれいに磨き上げた)した金型は結露による錆はNG。

印刷工場

紙の腰がなくなり、しわが発生します。

紙がべ夕つき、供給(給紙)エラーや機械詰まりが起きる。

カビが生える:製紙業や繊維業では高温多湿状態では保管中にカビが発生し、製品不良の原因になります。 食品工場:

高温多湿により細菌を繁殖させることの原因にもなります。

加湿の改善

湿度管理を適正に実施すれば高価な除電器を購入せずに済む。

加湿の改善 静電防止対策

加湿の改善 静電防止対策

関連記事:除電用加湿器の使い方、選び方

静電気遮蔽による帯電防止

静電気シールド

帯電したモノを導電で遮蔽して静電気の影響を外部に与えないようにする静電気方法であり、静電気シールドとも呼んでいる。

但し、この方法は帯電した電荷を除去している訳でないのでシールドされた空間からでた帯電物は帯電したままである。

静電気シールド

静電気シールド

遮蔽を利用して帯電体が外部に静電気現象の影響を与えないようにする対策用品がある。例えば、プラスチックペレットの空気搬送で使用されるホースはプラスチックペレットが内壁に衝突するため帯電する。ホースが帯電することによって、外部導体へ放電するなどのトラブルが発生する。図28に帯電モデルを示す。

ホースに金属網を巻きつけて接地したり、金属製ワイヤー入りホースにしたりすることで、帯電したプラスチックペレットの影響が外部に出ない。またホース内部の電位の上昇が抑えられるので静電気トラブルは発生しにくくなる。図29に金属製ワイヤー入りのホースの例を示す。

静電気シールド

静電気シールド

除電器~イオンによる中和

除電器はコロナ放電によって空気中にイオンを生成する「コロナ放電タイプ」と、X線などの高エネルギー線を空気中に照射することで、空気を電離させてイオンを生成する「電離放射線タイプ」に大きくふたつに分けられる。更にコロナ放電タイプでは針形状の電極などに電圧を印加する「電圧印加方式」と、帯砲物の電圧が上昇すると利用する「自己放電方式」に分かれる。

又、電離放射線タイプでは光の分類によって「軟X線方式」、「紫外線方式」、「α線力式」に分かれる。

除電器の種類

除電器の種類

電圧印加式除電器の原理~コロナ放電

針形状のような尖った電極に高電圧を印加して、先端には強い電界を生じさせる。この電界によってコロナ放電が発生し、空気中の分子がイオン化される、このイオンを気流や電界(クーロンカ)を用いて帯電物に供給して除電を行う。

コロナ放電の原理

コロナ放電の原理

電圧印加式除電器の種類

電圧印加式除電器はイオンの搬送方法、搭載している高圧電源、電極の種類によって分類できる。

電圧印加式除電器の種類

電圧印加式除電器の種類

イオン搬送の分類

電界によるイオン搬送

電界中にイオンを置くと電荷は力を受けて加速する、電極と同様なイオンは電極から斥力(せきりょく)を受ける、逆に帯電体の付近ではイオンは引力を受ける。この両方の力によってイオンは帯電体に供給される。

電界によるイオン搬送

電界によるイオン搬送

電界搬送と気流搬送の能力差

図33に電界搬送と気流搬送(エアパージ)での除電時間の違いです。
設置距離が約50mm付近では、電界によるイオンの搬送が支配的で、搬送方法による除電時間の差はないが除電対象との距離が離れるほど電界搬送による除電時間は急激に長くなり、搬送方法による差が大きくなる。
軽い部品や乾燥前の塗装面など気流を嫌うものを除電するときは、近距離に除電器を設置して電界搬送で除電する。

電界搬送と気流搬送の違い

電界搬送と気流搬送の違い

気流によるイオン搬送

気流によるイオン搬送では主にダウンフロー、圧縮空気(エア)、ファンやフロアという3つの方法がある。

1)ダウンフロー

 ダウンフローとは、装置上部や部屋の天井から空気を一定速度で噴出し、床画から排出させる空気の流れである。ダウンフロー環境下での除電器の設置の例を図34に示す。ダウンフロー流れにイオンを乗せて、広い範囲を除電する。除電器と対象’物との距離(除電距離)は約2m程度である。

ダウンフロー イオン搬送

ダウンフロー イオン搬送

ダウンフロー有無の差
除電器と対象物との距離(除電距離)は約2m程度である。図35にダウンフローの気流搬送を使用したい場合の除電時間の例を示す。

ダウンフロー有無の差

ダウンフロー有無の差

2)圧縮空気(エア)

除電器に圧縮空気を供給して(エアバージ)して電極付近のノズル穴からエアを噴射させる、噴射したエアはイオンをのせて遠くまで届く。このタイプの除電器は近距離に除電器を設置できないときや圧縮空気の力を利用してゴミやホコリを吹き飛ばして除去するときに用いる。商品としてはガンタイプ、バータイプ等がある。

圧縮空気(エア)

圧縮空気(エア)

エア流量と除電時間

エア流量が多いと除電器からの設置距離が1m以上離れていても除電時間は短く、効果がある。

エア流量と除電時間

エア流量と除電時間

 

)ブロア(ファン)

除電器に内蔵したファンやフロアの風力によってイオンを搬送する。この夕イプの除電器は、エア設備が必要ないこと、特別な電気工事や設置工事を必要としないことから、セル生産の作業台(屋台)に使用されることが多い。下図にブロアタイプ除電器を使用する例とブロアタイプ除電器の例を示す。

ブロア除電器

ブロア除電器

ブロア除電時間

フロアタイプ除電器を使用した場合の除電時間の例を図に示す。 フィンの回転速度を調整する機能があると風速や風量を変えることが出来る。図37のグラフはファンの回転速度の設定を弱-強に変えて除電時間を測定した結果である、除電時間は風速や風量によって異なる。

ブロア―除電時間

ブロア―除電時間

高圧電電源による分類

SSDC型除電器

SSDCとは、Steady Slate(安定状態) DC(直流)の略である、プラス、マイナスの直流電圧が印加される電極がそれぞれ備わっている。放電開始電圧以上の直流電圧が印加されプラスマイナスイオンは常時生成している。図40にSSDCタイプ除電器の構成を示す。

SSDC型除電器

SSDC型除電器

 

SSDC型除電器の特徴
電極にはプラスとマイナスの直流電圧を印加している。それぞれの電極で生成したイオンは電極と同極性なので、反発して空間に拡散する、 プラスとマイナスのイオンが同時に生成しているのでイオンはお互いに引き合いすぐに消滅してしまう。そのためイオンを電界搬送によってより遠くへ搬送するためにはプラスとマイナスの電極問距離を大きく離した構造にしなければならない。図40は電極間距離と除電距離の関係を示した実験で電極間距離が50㎜と250㎜の除電器を比較している。電極間距離が大きい除電器の方が遠い距離まで短時間で除電できる。

SSDC型除電器の特徴

SSDC型除電器の特徴

パルスDC型除電器

基本構成はSSDCタイプと同一である、 SSDCタイプとパルスDCタイプとの違いはプラス電圧とマイナス電圧を切り替えてパルス状の波形の電圧を印加している点である 図がパルスDC型除電器の電圧印加イメージです。

パルス印加DC除電器

パルスDC除電器

パルスDC型除電器の特徴

片側の極性の電圧が印加されているときに、もう片方の極性の電極には電圧が印加されていないので、イオンの消滅が少なく、発生したイオンは電極と反発して拡散する。電界搬送で除電をする場合は、印加する電圧の切替え時間(動作周波数)を調整することで、除電距離に応じて最適化できる。つまり、距離が近ければ高い動作周波数、距離が遠ければ低い動作周波数にする。 SSDCタイプと異なり除電器構造の制約によって除電距離が制限されない。
 
 またSSDCタイプと同様にプラスとマイナスの電極が固定されているためイオンの分布ができる。パルスDCタイプ除電器は特に対象物の配置や、周波数と設置距離に注意して使用する必要がある。

パルスDC型除電器の特徴

パルスDC型除電器の特徴

商用周波数(AC)タイプ

商用周波数のAC100Vを昇圧して電極に印加することからACタイプとも呼ばれる。すべての電極に同じ電圧を印加しており,ひとつの針からプラスイオンとマイナスイオンの両方を生成する、周波数は商用周波数で固定されている。大きく重いトランスが必要で電源の小型化は困難である。通常高圧電源と除電器部分が分離されている。

図43にACタイプ除電器の構成と電圧印加イメージを示す。

商用周波数(AC)タイプ

商用周波数(AC)タイプ

商用周波数(AC)タイプの特徴

DCタイプのようなプラスとマイナスのイオンの分布はない。ただしパルスDCタイプのように近距離で使用する場合はイオンバランスの脈動に注意する。
同じ電極からプラスとマイナスのイオンを交互に発生させているので、イオン同上の再結合によって除電器から遠ざかるとイオンは減少する。図43にACタイプ除電器のイオン分布のイメージを示す。
イオンを電界搬送する場合には、周波数が50Hz-60Hzでは除電距離は200mm程度が限界である。これ以上に遠い場所を除電する場合は気流搬送を行う。ACタイプ除電器は特に設置距離とエアの使用に注意して使用する。

ACタイプ除電器の特徴

ACタイプ除電器の特徴

高周波ACタイプ

高周波ACタイプ除電器は、周波数が数kHZ一数10kHzの高周波高電圧電源を搭載している。高周波電圧電源として圧電トランスを使用しているものはイオン生成のための電源が小さい。図44に高周波ACタイプ除電器の構成と電圧印加イメージを示す。

高周波ACタイプ除電器

高周波ACタイプ除電器

高周波ACタイプの特徴

高周波ACタイプ除電器は、プラスとマイナスのイオン生成を短い周期で切り替えるため、再結合によるイオンの消滅が多く電界搬送では近距離しか除電できない。

このタイプの除電器は気流搬送が必須となる。

圧電トランスは機械的な共振を利用しているので、小型で高効率である。しかし圧電トランスには制約があり出力電圧を高くできない為に電極摩耗、汚れにより除電能力が劣化しやすい。

図に高周波ACタイプ除電器のイオン分布のイメージを示す。

高周波ACタイプの特徴

高周波ACタイプの特徴

パルスACタイプ

プラスとマイナスの直流高電圧電源を組み合わせて、一つの電極からプラスとマイナスのイオンを生成する。動作周波数や電圧値、またはプラスとマイナスのイオン生成期間などを任意に設定できることから、近年急速に除電器に取り入れられるようになった。図46にパルスACタイプ除電器の電圧印加イメージを示す。

パルスACタイプ除電器

パルスACタイプ除電器

ルスACタイプの特徴

パルスACタイプは、一箇所の電極からプラスとマイナスのイオンを生成できるので、イオンの空間分布は均一である。

電界搬送で除電をする場合は、印加する電圧の切り替え時間(周波数)を調整することで除電距離に応じて最適化できる。つまり距離が近ければ高い動作周波数、距離が遠ければ低い動作周波数にする。ただし近距離で使用する場合、不適切に低い動作周波数にするとイオンバランスの脈動による問題が生じる場合がある。

パルスACタイプ特徴

パルスACタイプ特徴

電極材質による分類

1)電極材料の要求基準

高融点

 極先端部はコロナ放電による電流が集中しているため高温になる、この温度に耐える電極材料が必要である。   

耐スパッタ性

 電極はイオンや電子のスパッタを受けて磨耗する、原子量の大きい物質はスパッタされにくい。

耐化学反応性

 大気中で安定であること、腐食が進行するような金属(鉄等)は電極材料として扱いにくい。

低コスト

 材料が高価な金属であったりするとコストは高くなるため採用できない。このような要求からタングステン、ステンレス、シリコンがよく用いられる。

除電器 電極種類

除電器 電極種類

除電器のメンテナンス

コロナ放電方式の除電器を運用すると、電極へのゴミ付着や、電極の磨耗により徐々に除電能力が低下する。これは物理現象として避けられないことなので、チャージプレートモニタ(除電器の除電能力を測定する測定器)など、除電能力を測定する機器を使って定期的に検査する必要がある。

除電能力が低下し管理基準を満たせなくなった場合は、電極の清掃や電極の交換などのメンテナンスが必要になる。

 またコロナ放電方式の除電器は高電圧を扱っている。高電圧による樹脂や電子部品の劣化のため。高圧電源の交換や高圧ケーブルの交換を必要としている場合もある。

現象(特性) 要因
①除電速度が低下 ②イオン発生量減少 電極摩耗、異物付着
③イオンバランスが悪化 ④イオン生成バランスが変化 電極摩耗、異物付着

除電器 電極へのゴミ付着

図50のように電極先端に空気中の不純物が付着しイオンの生成に影響する。付着する物質は除電器を使用する環境の雰囲気によって異なる。 溶剤や薬液または機械油などを使用する環境ではそれらの揮発成分が雰囲気に漂い、その成分が電極先端に付着する。

電極ゴミ付着

電極ゴミ付着

除電器 電極の摩耗

電極の磨耗も、除電性能を低下させる大きな要因である。図51はDCタイプ除電器における電極の磨耗の様子を表している。プラスとマイナスの電で磨耗の様子が異なる。
                         
 電極の磨耗の原因はスパッタ(spatter:撥ねる)であると考えられる。図51に示したように、マイナス電極では電子を放出して主にマイナスイオンが生成されている。

プラス電極では電子を吸収することで主にプラスイオンを生成している。つまり電子の衝突を受けている。これが電極の極性の違いによる磨耗の違いになっていると考えられている。このように、電極の極性によって磨耗量に違いがあるため、DCタイプ除電器は長期使用によるイオン生成のバランスが偏りやすい。

除電器電極の摩耗

除電器電極の摩耗

除電器 電極の清掃

電極が汚れることによって、イオンの発生量は減少し除電速度が低下する。それだけではなくプラスとマイナスのイオンの生成バランスも偏るためにイオンバランスが悪化し、除電器が「帯電器」に変わる恐れがある。

そのため、除電器の能力を最大限に発揮させるためには電極の掃除が必要不可欠になる。

電極のメンテナンスはアルコールを浸した綿棒などで清掃する他に、除電器専用のクリーニング用具が用意されている場合もある。各除電器の取扱説明書に従い、保全作業手順書を作成し、正しいメンテナンスをする必要がある。

除電器電極の清掃

除電器電極の清掃

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   自己放電式除電器

帯電体,に例えば針のような先の尖った金属を接近させると,その先端部には誘導電荷が集中して集まり,先端部の電界が強くなる(図52)。この電界は帯電体の電荷によって作られるものであるから,帯電体の電荷量が多ければそれに比例して強くなる。 
その結果,電荷量がある値以上になると金属の先端部コロナ放電が発生し,帯電体が除電されるようになる。コロナ放電が開始すると帯電体電荷と逆極性のイオンが発生し,帯電体に引きつけられてその電荷を中和する。

自己放電式除電器

自己放電式除電器

自己放電式の特徴

自己放電式除電器は電源の供給が不要で、アースに接続するだけでよい。また比較的安価な装置で取り付けも簡単であるというメリットがある。ただし帯電物の電位がある程度高くないとイオンは生成されない。

 図53に帯電電位とイオン電流の関係の例を示す。帯電物と除電器の距離は25mmに設置している。イオン電流が大きいほど、電極でのイオン生成が活発であることを示している。自己放電式除電器は、帯電電位が+5kV以上または-7kV以下でないとイオン電流が流れていない、つまりイオンが生成していない。

自己放電式除電器の特徴

自己放電式除電器の特徴

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