静電気による爆発、引火事故事例【図解】

静電気による爆発、引火事故静電気トラブル

【図解】静電気による爆発、引火事故事例

工場向けの静電気防止、静電気除電対策のガイドとして下記のポイントをメインに解説しています。

・静電気防止、静電気除電の原理、仕組み

・静電気防止、静電気除電の違い

・静電気防止、静電気除電グッツ

工場、現場等での静電気除去対策にご活用ください。(^_^;)

動画 静電気による爆発、引火事故

静電気に帯電した体から指先を通して火花放電が起こり,気化したベンジンに着火。

静電気事故事例1:ガス,液体,粉体の爆発、着火

工場などで静電気放電が生じると可燃性ガス,液体,粉体の着火・爆発を引き起こすことがある。可燃性のものがあるときには,とくに注意が必要である。

ガソリンスタンドで,給油する前に設置したゴム片にさわって人体を除電するのは事故予防のひとつである。油性インキを使う印刷工場ではローラーの帯電による引火による火災の恐れがある又、ラベル紙製造の糊塗工機では有機溶剤が多いので,この放電に起因する着火事故防止に配慮しなければならない。

石油系液体のタンクの内面塗装が帯電して,これに接地物体(チェーンや測定器具)がさわると,塗面全体に広がる強大な放電が起こり、着火・爆発のもととなる。
可燃性ガスが空気と混合して,この中で火花放電が起きた場合,着火・爆発に至る目安として放電の“最小着火エネルギー”がある。

液体だけでなく粉体も,輸送などの取り扱い中に容易に帯電する。工業のみならず農業で小さく裁断した材料や,ペレットや粉を取り扱うことがある。粉炭,セメント,穀物,茶葉,飼料など,その例は非常に多い。お茶の葉を製造するとき電子レンジ中で乾燥するが,このとき茶葉が帯電して静電気放電から発火する可能性がある。山芋の粉の製造工程でも,静電気が問題となったことがある。

サイロなどの大きな容器にこれらを落とし込むときなどに,帯電は起きやすい、粉塵の最小着火エネルギーは可燃性ガスに比べて大きいが,粉体の除電は困難であるので,注意が必要である。

ガス 静電気着火

LPガス 静電気着火 画像出典先:職場のあんぜんサイト

 

静電気事故事例2:絶緑性液体を取り扱うときの帯電

液体が容器やパイプにふれて動くと,電荷が発生する。これを流動帯電という。
油をフィルターに通すときには強い流動帯電が起きる。石油系の燃料や溶剤は,絶縁性が高い(リークが小さい)ので,帯電が問題になりやすい。静電気の立場からは石油系液体を動かすこと自体が“悪”であるが,実際にはこれを避けることはできない。リークが小さいから,取り扱いすべての速度を落とせばよいわけだが,実際にはそうもいかない。
石油系液体の静電気問題の注意点は下記のとおりである。

振動、ショックを液体に加えないこと、タンクに給油時は上から供給するのではなく下から供給させて液体に振動を加えないこと。

②タンク内の液面に接地物体を下ろすのは,帯電面に接地物体を近づけることであるから,強大な放電を起こすことになる。液面測定などのための器具はたいてい金属製で細いから,放電が生じる条件はそろっている。これは,非常に危険であり,避けるべきである。

③さび止めにタンク内面を塗装する場合,通常の塗料は絶縁性なので,接地金属物体を薄い絶縁層で覆うことになる。これは大量の電荷をためるコンデンサと同じであるので,長大な沿面放電が起きる絶好の条件になる。それゆえ,タンク塗料は多少の導電性がある方が良い。塗装したタンク内面を石油系液体でスプレー洗浄するようなことがあるとすれば,静電気の立場からすると,帯電,放電,着火・爆発を求めるようなものである。

ガソリンタンクの洗浄作業中に爆発

ガソリンタンクの洗浄作業中に爆発

参考サイト:職場のあんぜんサイト『ガソリンタンクの洗浄作業中に爆発』

 

静電気事故事例3:ガソリンスタンドで人体を除電する

ガソリンスタンドで人体を除電するために,黒いゴムのベロにさわる。黒いゴムには炭素系の粒子が練り込んであり,適度な導電性を持たせ,しかも人にショックを与えることのないように帯電電荷が接地に逃げるときの電流のピーク値を低くするために使用する。

除電シート

除電シート

ガソリンスタンドの床は,オイルとともにごみがついて汚れているから,相当、導電性があるように思われるが,コンクリートを打ってから時間がたって水分が抜けると,絶縁性が高くなる。ガソリンスタンドのコンクリートの上を人が歩く人体の帯電電荷が接地ヘリークすることは期待できない。そこで人体除電用のベロにさわるのである。

静電気事故事例4:消火器が原因となる再着火

消火器でガスの炎を消したあと,消火器のノズルをガスの口金に近づけると火花が飛んでガスが再点火することがある。消火器から消化剤が噴出すると消化剤は帯電し消火器ノズル(接地からは絶縁してあるとする)とボンベは消化剤と逆極性に帯電する。

 

図2.19は,その説明である。このノズルをガスの口金に近づけるとノズルーロ金間に放電が起き,その火花でガスが点火するのである。これは,デモンストレーションとしても印象の強い実験である。

この消火器ノズルの帯電は霧吹き器の帯電と同じ現象である。実際に,消火器ではないがボンベからLPGを噴出させたときに着火したと見られる事故例がある。

消火器の静電気トラブル

消火器の静電気トラブル

静電気による引火、爆発 PDFファイル

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*さらに詳しい内容は下記の文献を参考、願います。

 

参考文献:

静電気の基礎と帯電防止技術 著者:村田雄司 日刊工業新聞社
たのしい静電気  著者:高柳 真
静電気トラブル Q&A  監修:田畠泰幸

図解 静電気管理入門 著者:二澤 正行 工業調査会
静電気がわかる本―原理から障害防止ノウハウまで 高橋 雄造 (著)
電気機器の静電気対策 (設計技術シリーズ) 水野 彰 (監修)

 

 

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